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presented by Soromon / Genn Torikata
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かみさまウォッチ
[登場人物]
ユーマ(仮)♂
ヒトの創造神。15歳(くらいの容姿)。
軽い性格で、ディーネとは犬猿の仲。
作中の神様の中では新顔。
名前の由来は「human」から。
ディーネ(仮)♀
草木と水の創造神。15歳(くらいの容姿)。
大人っぽく振舞おうとするが子供っぽさが抜けない。
名前の由来は「Undine」から。
ロフィ(仮)♀
破壊神。20歳(くらいの容姿)。
やや毒舌だが前述の二人より常識人。
名前の由来は「catastrophe」から。
マクスウェル(仮)♂
元素を司る創世神。55歳(くらいの容姿)。
貫禄のある大黒柱。万物の父と言われる。
ヴィーナス(仮)♀
生命と愛を司る創世神。25歳(くらいの容姿)。
お淑やかで美麗。女性の理想像(ディーネ談)。
生きとし生ける物の母と言われる。
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役表
ユーマ♂:
ディーネ♀:
ロフィ♀:
マクスウェル♂:
ヴィーナス♀:
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マクスウェルN:君達は、誕生の瞬間、というものを知っているかな?
無から有に。0から1へと変わる瞬間を。
それは歴史そのものの出発点であり、全ての始まりの瞬間だ。
ヴィーナスN:ヒトの命とて例外ではありません。しかし、如何なるモノの誕生よりも、
ヒトの誕生は、それを作った創造神ですら想像もしなかった程に、奇跡的で、
神秘的なもの。そして、ヒトの歴史は、どんな生き物達の歴史よりも、
忙しなく、壮絶で、圧倒的な速度の進化の上に成り立っています。
マクスウェルN:ヒトの無限の可能性。ヒトが生きる、地球という惑星の無尽の可能性。
それに興味を持った我々は、地上から、天上から、観察をし始めた。
地球の何処かに、定期的に観察の為に神が降りているのを、
果たして君達のうちの何人が知っているだろうね?
ヴィーナスN:そんな神様達の日常を、貴方達には特別に見せて差し上げましょう。
あら?……ふふっ。さあさあ、もうこの幕の向こうでは、
物語は始まっているみたいですよ?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ディーネ:ロフィ!
ロフィ:あら、ディーネ。久し振りね。
ディーネ:うん、ほんと久し振り!
しばらく顔見なかったけど、何してたの?
ロフィ:色々よ、い・ろ・い・ろ♪
ディーネ:ロフィの色々はなんか怖いんだけど……。
ロフィ:あら、そんな大した事はしてないわよ?
変な所漂ってる星屑を消したり、惑星の軌道修正の為に適度に隕石落としたりね?
ディーネ:へー……。そ、そう…。
隕石といえばさ、こないだ結構凄いの落としてたよねー。
今観察してる惑星に。…チキュー?だったっけ?
ロフィ:そうね。と言っても、あれから随分経ってるけどね。
あの時と比べると、地球も随分風変わりしたものよねえ。
ディーネ:そうだねー。
……あれ?今日の観察係って誰だったっけ。
ロフィ:ユーマじゃなかったかしら?そろそろ戻ってくるはずよ。
ディーネ:なーんだ。別に戻って来なくても良いんだけどなー。
ロフィ:あら、貴女ユーマの事は嫌いだったかしら?
ディーネ:嫌いってわけじゃないんだけど…。
あーゆーガキっぽいヤツに小馬鹿にされるのはなんか嫌なの。
ユーマ:だぁれがガキっぽいって?
ディーネ:ぅわっ!?
痛い痛い痛い痛い!耳はダメ!痛い!!
ロフィ:あら、お帰りなさい。ユーマ。
ユーマ:ったく……。ん?
おー、ロフィか!久し振りだな。
ロフィ:どうだった?地球観察は。
ユーマ:あーーー……、うーーーーん……。
ロフィ:……?
ディーネ:なに?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ユーマ:なんつーかなぁ…、ヒトを創ったのは俺なんだけどさ、
こう、進化を重ねる度にどんどん強欲になってってる気がするんだよな。
いや、自分から進化する事自体は良いんだけどさ。
ロフィ:あら、ヒト以外の生き物だって、自らの欲を力尽くで満たしているじゃない?
独自に進化を続けようと思ったら、それくらいは当たり前だと思うけど。
ユーマ:まあ、それもそうなんだけどな。
でも、やっぱり今でも思う事は、形を俺達みたいな姿にしといて良かったって事だな。
わざわざヒトにだけ言葉を与えといたってのも大きかったけど。
ロフィ:貴方達、ヒトの創造を考えてた時凄い揉めてたものね。
ディーネ:だってさー、結局要するに、ヒトってのが私達とほとんど同じ姿になるわけでしょ?
それって何か悔しいじゃん。神様としての威厳が無くなっちゃうっていうか。
それに何より、四足歩行の方が可愛いもん!
ユーマ:お前の理由は下らなさ過ぎなんだよ。完全に好みの問題じゃねーか。
ま、草だの水だのをいじってる身じゃあ、ヒトの良さなんて分かんねーよな。
ディーネ:何よ!ヒトなんて中途半端に知識なんて持っちゃってさ、
妙に狡賢くなって、今や地球そのものを我が物顔で占領してるじゃない!
水とか草木とか、そういう自然の恵みが無かったら生きるのもままならないクセに。
ユーマ:でもそういう自然の恵みとやらだって、結局ヒトが管理しなきゃ役に立たないだろ?
ヒトがいない山に草食動物なんて放置してみろ、あっという間に食い尽くされちまう。
ケモノと自然のバランスを管理する役目を買って出てやってんだ、
むしろ感謝して欲しいくらいだけどな。
ディーネ:なーにがバランスを管理する、よ。
結局のところ全部自分達だけが発展していく為の口実じゃない。
挙句には自然破壊がどうの環境汚染がどうのって、自分で蒔いた種に自分で苦しんでさ。
いい気味だわ。
素っ裸でのそのそ生活してた頃のほうがまだ可愛げがあったわよ?
ロフィ:まあまあ二人共。今のヒトの生き方がどうであれ、
彼らには他の生き物には無い、「他者との繋がりによる相互成長」の可能性を与えた。
私達に手を差し伸べてもらう事無く、彼らは独自にここまで成長したわけでしょう?
……ユーマの言う通り、ヒトは今や自然を管理する立場にある。
それによって、自然は昔より遥かに豊かになってる。ディーネが認めたくなくてもね。
ディーネ:………うん。
ロフィ:でも、ディーネの言うように、ヒトは自然の恩恵が無ければ生きられない。
これも事実よね。ヒトだけじゃなく、生き物全てにとって命の源だもの。
ユーマ:それは……確かに。
ロフィ:だったら、答えは一つよね?
持ちつ持たれつ。創った当の本人達が啀み合ってちゃ、救いようが無いわよ?
ユーマ:……ごめん。
ディーネ:…ごめんなさい。
ロフィ:……まあ、今は地球は私の管轄外だし。どうなろうがどうでも良いんだけどね?
ユーマ:は?
ロフィ:貴方達が喧嘩してるところを見るのが嫌なだけなのよ、私は。
ディーネ:………ロフィ……。
ロフィ:ああ、でも。
私はケモノよりかは、ヒトのほうが好きよ。
ユーマ:……だってよ。残念だったな、ディーネ。
ディーネ:……もうっ!結局ロフィはどっちの味方なのよぉ!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ヴィーナス:……喧嘩は、終わったかしら?
ディーネ:え、あっ!ヴィーナス様!?
マクスウェル:いかんな、創造神ともあろう者達がそのような下らぬ諍いを起こすようでは…。
ロフィ:マクスウェル様まで……。ご機嫌麗しゅう。
ユーマ:ヴィーナス…?マクスウェル……??
……えっと、どちら様?
ディーネ:はっ!?
ロフィ:あらあらぁ……。そうよね。ユーマはまだ、創造神になって日が浅いものね。
ディーネ:いや、だからって!もの知らないにも限度ってもんが…。
ユーマ:え、そんなに偉いの?この人達って。
ディーネ:当たり前よ!あのね、私達は創造神で、この人達は創世神!
私達は一つのモノを創り出す神様だけど、この人達は、一つの世界を創り出す神様なの。
同じ神様でも格が違うのよ?私達だって、この人達に産み出された存在なんだから。
ヴィーナス:格が違うだなんてそんな……。私達は、それぞれが担うべき役割を
各々で司っているだけの事です。その役割に、優劣なんてありませんよ。
マクスウェル:それに、我らは創り出すだけで管理はお前達に任せっぱなしだ。
そういった面では、寧ろ我らがお前達に感謝しなければならん。
ディーネ:そんな、勿体無いお言葉……。
ロフィ:……まあ、知らなかったなら仕方無いわよねぇ……。
確かに私達よりかは格上かも知れないけれど、仰る通り仕事に優劣なんて無いし。
ディーネが個人的に極端に崇拝してるだけっていうのもあるわよね。
ユーマ:そうそう。それに、俺達が二人に産み出されたって事は、
俺達は家族みたいなもんってことだろ?感謝こそすれ、家族に媚び諂う必要なんて無いだろ。
ディーネ:カゾク?
ロフィ:……初めて聞く言葉ね。なぁに?カゾクって。
ユーマ:いや、生き物ってみんな、雄と雌が何かしらの方法で自分の子供を作って産むだろ?
そうやって出来たグループの事を、ヒトの社会の中では「家族」って呼ぶんだとさ。
俺は、ヒトが使ってる言葉の中では結構好きな単語だと思ってる。
ディーネ:へー……。
ロフィ:そういう集合体にも名称をつけたがるのねえ。興味深いことだわ。
ヴィーナス:………マクスウェル様。
マクスウェル:……うむ。
実は、我らが今日こうやって皆の前に出向いたのは、大事な頼みがあってな。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ユーマ:大事な、頼み?
ヴィーナス:貴方達に、地上に降りて頂きたいのです。
ディーネ:地上に?
……いえ、それなら既に以前から何回も……、
マクスウェル:そうではない。一時的に、ではなく長期的に降りて欲しいのだ。
数年、可能であれば数十年単位でな。
ロフィ:それは、つまり……。
ディーネ:要するに、私達は神様に相応しくない…と……?
ヴィーナス:そうではありません。むしろ、今の貴方達は代わりがいない程有能です。
だからこそ、地上に長い期間で降りて頂いて、地上のありのままを。
万物の成長・進化の一部始終を、そして、ヒトの生き様を、
その目で見て、その心で感じてきて頂きたいのです。
マクスウェル:上から眺めているだけが神の仕事ではない。
地球という惑星は、そしてヒトという生き物は、我々が想定していた以上に
自ら発展し、進化し、成長してきた。
彼らは最早、観察対象ではない。生きた教本として、我々が見習うべき面も多いのだ。
ユーマの言った、「家族」という概念のようにな。
ロフィ:……分かりました。
ディーネ:ロフィ?
ロフィ:まあ、私の管轄外とは言ってたけど、前々から気にはなってたのよ。
ちょうど良い機会だから、私も降りてみようかな。ってね。
マクスウェル:無論、下界に降りてもらう、という事は即ち、ヒトとして、
ヒトと共に生きるという事だ。言わずとも分かるとは思うがな。
ヴィーナス:ディーネさんなどは特に、直にヒトと関わったほうが、ユーマさんの言葉を
聞き入れる事も出来るのではありませんか?
本心では、分かり合いたいと思っていらっしゃるのでしょう?
ディーネ:うっ……、それを言われると……。
ヴィーナス:ふふっ。
ユーマ:俺は最初から心は決まってるよ。
というか、創世神様直々の頼みなんだろ?受けるっきゃ無いって。
ま、どっかの阿婆擦が我儘言わなけりゃ、だけどな。
ディーネ:~~~っ、分かったわよ!行けば良いんでしょ!
行きます!私も行きます!
マクスウェル:……うむ。では、頼むぞ。
ヴィーナス:しかし、ただ見るだけでは勉強になりません。
神ではなく、ヒトとして。ヒトの世界で、一生を全うして来てください。
勿論、全うといっても本当に死ぬ訳ではありませんが、
ヒトの世界を、存分に感じてくるには、それが一番良いかと。
ユーマ:つまりは、赤ん坊からって事だな。
マクスウェル:そういう事になる。そして、神であること、神だった頃の記憶もその間は
消させてもらうことになる。……もう一度だけ確認しておこう。
大変な仕事だが、頼まれてくれるか。
ディーネ:当然です!
ユーマ:合点了解。
ロフィ:勿論ですわ。
ユーマ:ディーネ。ロフィ。
ディーネ:ん?
ロフィ:何かしら?
ユーマ:下界で会ったら、よろしくな。
ディーネ:……馬鹿。綺麗さっぱり忘れてるから、よろしくも何も無いわよ。
ロフィ:うふふふっ。
ま、気付かないだろうけど、会ったら、ね。
ヴィーナス:……それでは、行ってらっしゃい。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
マクスウェル:………行ったか。
ヴィーナス:はい。無事、ヒトの子として転生させておきました。
……しかし、今更ですが何故、このような事をお考えになったのです?
マクスウェル:先刻も言った通りだ。
ヒトは最早、我々の手から離れ、無限の可能性を秘めている。
ただ上から自らが創った世界を眺めているだけでは、あ奴らは
いつまでも成長できぬままだ。だからこそ、生きた教本であるヒトの下で、
ヒトとしての一生を経験する事で、ヒトを見守る神として成長してもらいたいのだ。
ヴィーナス:……ふふっ。見守る、ですか。
マクスウェル:そうだ。観察するのではなく、見守るのだ。
ヴィーナス:それなら、私達は見守るとしましょうか。
大事な「家族」の様を。可愛い息子達の、成長していく姿を。
マクスウェル:……ふ。「家族」、か。確かに、良い響きだな。
ヴィーナスN:さあ、如何でしたか?
今貴方達の世界には、かつて貴方達の世界を創った神様達が、
貴方達の事を学ぶため、貴方達と共に過ごしています。
この事を知った貴方は、もしかしたら、彼らを探すかも知れませんね。
でも、わざわざ探さなくとも、案外近くにいるかも知れませんよ?
………あら、貴方の隣にいるのは、ユーマさんではありませんか……?
……うふふっ。驚かれましたか?ごめんなさい、冗談ですよ。
マクスウェル:ヴィーナス、あまりヒトをからかうものではない。
ヴィーナスN:申し訳ありませんマクスウェル様。
では、お時間もありませんので。……また機会があれば、逢えると良いですね。
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