はちみつとクローバー改変
かいたひとのすかいぷ:thistle_heart
ほんとは一緒に上演したいけど友達いないんでここにおきます。もし一緒にやってくれるって会議あったら呼んでください。女。
山田あゆみ♀・・・21歳。浜美大学生。このエピソードでの主人公。スタイル抜群で美人。真山に片思いしている。
花本はぐみ♀・・・19歳。浜美大学生。小学生に見間違えられるほどの童顔で低身長。
山田あやね♀・・・24歳。あゆみの姉。着付けの先生をしている。大人っぽくて美人。
真山巧♂・・・24歳。浜美大学の卒業生。現在は就職していて社会人。あゆみからの好意に気づきつつも、自身は別の女性に片思いしていて、あゆみの気持ちにこたえられないでいる。
竹本祐太♂・・・20歳。浜美大学生。はぐみに片思いしている。少年、という雰囲気が残る青年。
花本修司♂・・・30歳。浜美大学の先生。はぐみとは遠縁の親戚。はぐみが大好き。はぐみ、巧、祐太が学ぶゼミの教授。
兼任
山田あきと♂・・・13歳。あゆみの弟。ちょい役。巧と兼任。
山田父♂・・・40くらい。ちょい役。修司と兼任。
ストーリー:真山とは幼馴染でずっと彼に片思いをしているあゆ。しかし真山には好きな女性がいて、あゆの気持ちは届かない。美術大学の学生たちの、切ないひと夏の花火大会。
あゆ「夏の初め、ベランダのプランターにシソとバジルを植えてみた。夏の日差しでぐんぐん伸びた。けれど7月の台風で、一番背の高いシソが一本、ぽっきりと折れてしまった」
あゆ「母は折れたシソを見ていった。”それはもう元には戻らないから折れたところからちぎりなさい。そうすれば枝が伸びてまた新しい葉がきれいに茂ってくれるから”」
あゆ「でもわたしには、それがどうしてもためらわれた。だって枝の先についている小さな葉たちはまだ元気だったのだ。折れる前となにひとつ変わることもなく」
―花本ゼミ研究室にて
祐太「ちわーっす。あっ、ドーナツ」
修司「山田が持ってきてくれたんだ。食っていいぞー」
祐太「ありがとうございます。山田さん、いただきます・・・ってあれ。はぐちゃんは?」
あゆ「あっちの部屋。私が来た時からずっとこもりきりよ」
修司「そういや、そろそろ6時間になるなー。腹減ってんじゃないのかー」
祐太「僕、見てきます」
祐太「はぐちゃんー」
はぐ「っは・・・は・・(小さな体を必死に動かして大きなキャンパスに絵を描いている)」
祐太「・・・・・・・」
あゆ「大丈夫だった?」
祐太「うん。いつも通りのはぐちゃん。一回呼んだけど、声聞こえてないみたいだったから、そのままにしておきました」
修司「はぐはなー、スイッチ入ると止まらないからなー。ま、そういうところがかわいいんだけどな///////」
はぐ「っあぅ!」
(同時・ぐちゃぐちゃに↓)
あゆ「わわ!」
修司「はぐ!?」
祐太「どうしたのはぐちゃん!?」
はぐ「あーーーーー・・・」
(同時・ぐちゃぐちゃに↓)
あゆ「え?折ったの?そんなでっかいスキージ!?」
祐太「いったいこの体どこにそんな怪力が!?」
※スキージ:絵の表面から水分を取り除くためのゴムヘラ。持ち手部分は木製
はぐ「びっ、くりしたーーー・・・・」
修司「これは・・・直んないな。新しいの買ってこないと。はぐ、きりもいいしそろそろ休憩したらどうだ?」
あゆ「ほら、お茶飲んで、ドーナツたべて」
はぐ「はむ・・・(ドーナツをかじる)」
あゆ「やだ!はぐちゃん、手洗った!?」
修司「今日は粘土とかじゃないから、大丈夫だろ」
あゆ「もー先生ったらー!」
あゆ「・・・そうだ、はぐちゃん!花火見に行こうよ」
はぐ「はなびー?」
あゆ「そう。きれいだよ!浴衣着て、おしゃれして、下駄はいて、リンゴ飴とか食べよう!」
はぐ「ゆかた・・・はなび・・・りんごあめ・・・」
はぐ「いくーーーー!!!」
あゆ「よし!じゃあ決まり!みんなでいこー」
修司「いいなあ、花火大会かあ」
あゆ「うちにいこう。浴衣、貸してあげるよ」
祐太「夜、河川敷でやるんですよね。急だけど、真山さんもこれるかな。ちょっと、きいてみますね(携帯取り出して)」
あゆ「っ―ーー~~~」
はぐ「あゆのみみが!」
祐太「あっ、真山さんですか?実は―――」
あゆ「(にやにやしながら)え~真山~忙しいんじゃないかな~」
祐太「そうなんですよ。7時半から八時まで」
あゆ「こ、これないかもよ~えーっとーえーっと~・・・きゃはっ☆」
祐太「え?仕事の打ち上げ?麻雀大会?あーじゃあ無理っすかねーまた連絡しますね」
あゆ「う”ーーーーーーーーーーーーーーー」
はぐ「あゆ!?あゆ!?しっかり!」
修司「貸せ」
祐太「えっ」
修司「ああ、真山?久しぶり。忙しいんだって?(わざとらしく)いいよ、無理してこなくっても。へーきへーき。こっちは楽しくやってるから」
真山(携帯・スピーカーから)「あーいく!いきます!8時、いや、7時半にはそっちいきますから!橋の近くの土手のところで携帯鳴らしてっつーことで!」
修司「来るってさ。真山」
あゆ「先生・・・!」
―あゆみの実家にて
あや「いらっしゃい」
はぐ「お邪魔します」
あゆ「あや姉ちゃんよ。高円寺で、着物屋さんをやってるおばさんのお手伝いをしてるの」
はぐ「花本はぐみです、お世話になります」
あや「あらあら、ほんとにちっちゃいのね」
あゆ「さーて、どれにするー?」
はぐ「わぁーーーーーーーー!すてきーーーー!」
あや「そうね、あゆみにはこんなのがいいんじゃないかしら」
あゆ「でもあや姉ちゃん、少し大人っぽすぎないかな」
あや「うふふふふ、あゆみくらいの年頃なんてちょっと大人っぽいくらいがちょうどいいの!普段とは違う、いろっぽいとこみせてこうグーっとハートをわしづかんでおかなきゃ!いるでしょ、こう、骨抜きにしてやりたい殿方のひとりやふたり・・・」
あゆ「あや姉ちゃん、わたし、ぜひこれで!」
はぐ「じ・・・じゃあ、はぐは!これで・・・!」
あや「あら、はぐみちゃんもセクシー路線でいっとく?」
あゆ「よし!はぐちゃん一緒に頑張ろう!」
あや「でもね、あなたたちはまずお風呂。浴衣を着るのはそれからよ。体を清めて、気合い入れてらっしゃい」
あゆ&はぐ「はいーーー!」
―30分後・・・
あや「んーーーーー・・・・」
はぐ「・・・・・・・・・・・(ぶかぶかの着物を着るはぐ)」
あや「ま、まあ、何もね。江戸柄にこだわらなくてもね。ね?」
あゆ「そ、そうだよはぐちゃん」
あや「ほ、ほら、バラが細かく散っているのだって、色を選べば、大人・・・っぽく・・・」
あゆ&あや「な、ならない」
あや「こうなったら最後の手段!寿司屋のかよちゃんに、おととし作ったあれ、借りてきて!」
あきと「えーなんで俺ー・・・」
あや「つべこべ言わない!」
あきと「わーったよ・・・」
はぐ「ゆかた・・・」
あや「はぐみちゃんはちょっと待っててね。きっとべっぴんさんに仕上げてあげるから。―――あゆ!あゆから着付けるよ」
あゆ「・・・あや姉ちゃん、どうしてもこのタオル、まかなきゃダメ?」
あや「あゆはしっかり胸があるからね。それしないと、帯にこう胸がドーンと乗っかっちゃうのよ。タオルがいやなら、こっちのブラにする?」
あゆ「いや~!なんかちっともロマンチックじゃない~・・・」
あや「え!?なに?あゆ今日脱ぐ予定があるの?ごめんなさいね、あたし気が利かなくて」
あゆ「あ、ありません!すみませんっ~~~~~っっ///まきます!まけばいいんでしょ!」
はぐ「ふむ・・・ふむふむふむ」
あゆ「あ、はぐみちゃんはまかなくていいのよ。どこもくびれてないから」
はぐ「あう~~~」
あや「はい、できた」
あゆ「ちょっと・・・大人っぽすぎないかな?」
あや「よく似合ってるよ」
あゆ「そうかな?」
あや「あれみりゃわかるでしょ」
山田父「うおーーーーーーー!あゆーーー!きれいだぞーーーーーー!(カメラをかまえながら)」
あや「さてと・・・問題は、あっち、かな」
はぐ「ふぇぇ・・・(泣く)」
あきと「蝶々結びの帯に金魚柄。下手したら俺より年下にみえるな」
はぐ「はぅ・・・(泣く)」
あゆ「は、はぐちゃん!かわいいよ、ほんと!似合ってるし!」
はぐ「(泣き続ける)」
あや「しかたないわね。お店に持っていこうと思って用意したんだけど・・・はい、はぐみちゃんにあげる(金魚型の手提げを渡す)」
はぐ「あ・・・(泣きやむ)」
あや「これは貸してあげる。帯どめを直したヘアピンよ。ほら、似合うよ」
はぐ「ふぁあ!(喜んで)ありがとうございます!あゆ!どう?」
あゆ「かわいいわ!はぐちゃん!」
あきと「ていうか、その恰好がそこまで似合うだいがくせーってどうなんだよ・・・」
あや「無理することはないの。似合うのを着るのが一番なんだから。でしょ?」
はぐ「・・・はい!」
あゆ「・・・」
―花火会場にむかうふたり
はぐ「あゆのお姉さん、すっごく優しい人だねー」
あゆ「・・・うん」
はぐ「はぐもおおきくなったらあんなふうになりたいなー」
あゆ「・・・そうだね」
はぐ「?どうしたの?あゆ?元気ないよ?」
あゆ「・・・ねえ、はぐちゃん。これ、ちゃんと似合ってるかな?」
はぐ「・・・あゆ?」
祐太「おーーーーーーーーーい!こっちこっちーー!」
はぐ「あー!竹本くんー!」
祐太「うわ!山田さんもはぐちゃんも、すっごいかわいい」
修司「いいねー。いろっぽいなー」
あゆ「あ・・・ありがとうございます(あたりを気にする)」
修司「あ。真山、もうすぐ着くって電話が来たよ。さすが、仲間はずれが嫌いなだけあるな」
あゆ「そ、そうですか・・・。(小声で→)ねえ、はぐちゃん」
はぐ「なあに?あゆ」
あゆ「(小声で→)ほんとにほんとに似合う?変くない?だいじょうぶ?」
はぐ「だいじょうぶ!」
あゆ「おでこだしてて、おかしくない?」
はぐ「あゆとっても似合ってる。はぐが保証する!」
祐太「お、真山さんだ」
真山「おーっす(手をふりながらあゆたちのところに歩いてくる)」
祐太「早かったっすねー」
真山「おう。麻雀バックレてきた。あれ?山田は?」
修司「そこ」
祐太「山田さーん。真山さんきましたよ。なんでそんなとこにいるんですか?」
真山「よう。山田。久しぶり」
あゆ「あ・・・うん・・・」
真山「・・・」
あゆ「・・・」
真山「山田」
真山「浴衣、似合うな。」
あゆ「っ・・・」
(花火が打ちあがる)
はぐ「うわー!きれー!!!わーーー!」
修司「はぐのほうがきれいだぞ~///」
祐太「いいですねー風流ですね~」
あゆ「・・・(周りにつられて花火を見上げるも、すぐに真山の横顔に視線を戻す)」
回想 真山M「浴衣、似合うな。」
あゆM「その、たった一言が聞きたくて。髪を結って、着物を選んで、大騒ぎして着付けして、慣れない下駄をはいて、ドキドキして」
あゆM「ほかの誰でもなく、あなたのその一言のために、願いをこめて、ほんのすこしでも、あなたの心がわたしに傾いてくれないかって」
はぐ「あゆ・・・?」
あゆ「・・・(静かに泣き出す)」
はぐ「あゆ?どうしたの・・?」
あゆM「どうしてわたしは、夢を見てしまうんだろう。繰り返し、飽きもせず。ばかの一つ覚えみたいに」
あゆM「数日経って、ベランダに出ると、折れたシソが自分の重さに耐えかねて、土の上でのたうっていた」
あゆM「母さんの言うとおりだった。これは、折れたところでちぎるしかなかった。そこで、ちゃんと区切りをつけて、新しい枝を伸ばすよりほかなかったのだ」
あゆM「それでもまだわたしはどうしようもなく迷ってしまう。このきもちを折ることができなくて。できなくて」
