S8  99-1  鮮血の旋律 | レクイエムのブログ

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──血とは即ち、生命の源だ。


──他人から分け与えられれば命を繋ぐこともあれば、多くを失えば死に至る。


──なれば、私は思う。血こそ、生命を彩る画材であると。


『これだ……これこそが私の求めていた色だ……!』


──光栄に思え。


──私の稀有たる血で、彩られることを。


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激戦が続くデモンズ本部、上ノ原とロイド一派の活躍により、スパロウトルーパーズと湧別が生み出していた黒いスライム達の増援が止まった。この機を逃さんとSWORD側の士気が一気に高まる。


悠馬「こちら、ロボットの部隊を殲滅しました!」


草津「よし、前進するぞ!」


一塊になって動くのは地獄谷隊だ。その勢いは衰えることなく中心部に向かってどんどん進んでいく。すると目の前に屈強な男が立ち塞がってきた。


デモンズ構成員「ぎ……ギ……ギ……!」


異様に膨れ上がった筋肉、焦点の合ってない瞳に口から垂れる涎、別府はすぐに目の前の男がステロイドを過剰摂取していることを見抜いた。


真司「あの様子……ステロイドか。 隊長、アイツの相手は俺が引き受けます。」


草津「頼んだ。」


デモンズ構成員「ギ……ギ……キシャァァァア!!」


デモンズ構成員が持っていた金属バットを別府めがけ振り下ろしてきた。しかし別府はなんと、金属バットが振り下ろされる前にデモンズ構成員のリストを掴み上げたのだ。


デモンズ構成員「う……うえ!?」


真司「やっぱりステロイドでデカくなったヤツの筋肉ってのは中身がねぇ。本当のパワーってのは、こういうことだよ。」


手を握る別府の手に力が籠もる。その瞬間、なんと別府はデモンズ構成員のリストを握っただけで破壊したのだ。ステロイドの副作用で痛覚が飛んでいたとしても、金属バットを振り回すことができない。


デモンズ構成員「ギィィィィィ!?」


真司「悪いがここで寝ててもらうぜ。全部終わるまで、大人しく……」


???「今だぁ!!」


その時、地獄谷隊を挟んでいた建物からデモンズ構成員達が顔を覗かせた。全員の手にはマシンガンが握られている。建物に挟まれている地獄谷達に逃げ場はない。


デモンズ構成員「囮が上手くいったなぁ!」

「全員まとめてハチの巣にしてやらぁ!」


真司「……お前ら、仲間をステロイド漬けにした上に囮に使うなんてどんな神経してんだ。」


絹代「引き受けます。〔ルックアットミー〕。」


その時、集団の中から絹代1人だけが抜ける。しかし、そんなことはお構いなしにデモンズ構成員達がマシンガンの引き金を引こうとする。


デモンズ構成員「1人逃げたなぁ!」

「構うか!他のヤツらを皆殺しだぁ!」


デモンズ構成員達のマシンガンが一斉に火を噴く。しかしその照準は全て、1人抜け出した絹代に向けられたのだ。降り注ぐ弾丸の雨を絹代は後転倒立しながら回避する。


デモンズ構成員「なんだ!?勝手にあの女を狙っちまう!」

「何でか目も逸らせねぇ……!ぐえっ!?」


絹代に目を取られているうちに、悲鳴が上がる。建物に乗り込んだ別府がデモンズ構成員を次々と斬り捨てていったのだ。デモンズとはいえ、平気で仲間を犠牲にする外道な作戦に、別府は怒り心頭だ。


真司「仲間を当たり前のように犠牲にするヤツらなんざいない方がいい。 次は仲間を大切にできるようになるといいな。」


反対側の建物でも、乗り込んだ悠馬がデモンズ構成員達を建物の外へと弾き飛ばしていく。卑劣な罠ではあったものの、地獄谷隊はいとも容易く突破した。


草津「よし、俺達は先に進むぞ。」


地獄谷が隊を率いて進行を再開しようとした、その時だった。前から1人の男が拍手をしながら悠然と歩いてきた。


???「洗練された適切な対応だ。実に素晴らしい。」


草津「随分な色男だな、兄ちゃん。 その顔、見たことがあるぞ。」


???「ほぉ、貴様とは初対面だが、この私の顔も売れてきたということか。」


地獄谷の睨みを目の当たりにしても、一切怯む様子はない。それもそのはず、目の前に現れたその男は、盟神親衛隊の1人、三途 充遙だったのだ。


充遙「地獄谷 草津、お前はどのように彩られるか楽しみだよ。」