S8  85-5  恐怖の後で | レクイエムのブログ

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─デモンズ本部 中心部─

地下に広がる1つの街のようになっているデモンズ本部も、今は閑散としていた。吾妻派が崩壊したことにより、SWORDからの摘発が相次ぎ、それに恐れを成した構成員達が次々と抜けていっているのだ。そんな本部の様子を中心部から嘆かわしい様子で見ている男がいた。


充遙「まったく……醜くて寧ろ感心するな。 吾妻が優勢の時はあれ程我が物顔で練り歩いていたというのに、派閥を率いる者がいなくなった途端にコレか。」


アカネ「まぁねー。それでも残ってくれる子はいるみたいだけどねー」


充遙「ロイド派に吾妻派、こちらに残った幹部は吾妻派の五十嵐と戒亡のみ、ロイド派の青島は未だに消息が掴めていない。 醜い有象無象ばかり集まっていても仕方ないが……五十嵐と戒亡は役に立つのか?」


???「その2人に関しては心配することは無いかと思われます。」


2人が会話している部屋に新たに男がやって来る。その出で立ちから、真面目さが醸し出されるこの男も三途達と同じく、盟神親衛隊の1人だ。


─デモンズ 盟神親衛隊 剣崎 王夜(けんざき おうや)─


王夜「たった今、2人の会話を聞いてきました。 五十嵐さんは吾妻派の再建と自らの手でSWORDへの復讐を、戒亡さんも因縁の相手との決着を望んでいます。 こちらの戦力へ引き入れられるかと。」


アカネ「剣崎ちゃん仕事早ーい。流石真面目ちゃんだねー」


充遙「貴様はもう少し真面目に仕事をしろ。この間の加勢でも散々先生の存在をほのめかしていたそうじゃないか。」


王夜「え……?本当ですか湧別さん……?」


アカネ「エー?でも盟神せんせーの名前は言ってないよ~? そ・れ・に、あーしが盟神せんせーの名前言ったところでアイツら信じる~?」


王夜「信じるも何も、疑いの目が向くのは確実です。 とはいえ、盟神先生の名前を言わなかったようなので安心しました。」


充遙「ところで剣崎、盟神先生はいつこちらに来るか聞いているか?もうすぐ会合の時間なのだが……」


親衛隊はみな、盟神から召集がかかって呼び出されていた。三途が盟神の到着について確認しようとした、その時だった。


公由「遅くなってすまないね。」


3人「「「!!」」」


突如として盟神の声が部屋の中から聞こえてきた。3人が驚いて振り向くと、そこには既に盟神が席に腰掛けていた。声がかけられるまで全く気づくことができなかった。盟神の側には護衛として同行していた病垂が立っている。


王夜「お疲れ様です、盟神先生。」


アカネ「病垂ちゃーん、来てるなら来たって言ってよぉ。」


禍帆子「すみません……ゴホッ 盟神先生から到着しても黙っているよう言われていたものなので……ゴホッ」


充遙「まったく……盟神先生もあまりからかわないでもらいたい。」


公由「少しばかりの余興だよ。 さて……集まってもらったのは他でもない。」


親衛隊全員が席に着いたタイミングで盟神は話し始める。


公由「君達の知っている通り、今デモンズは2つの巨大派閥を失い、崩壊すると思われている。 だが……デモンズにはまだ私がいる。創立者である、この私だ。 ロイド君も吾妻君も、互いに巨大派閥を作ってくれたおかげて組織は今日まで発展することができた。この2人が作ってくれた土壌を、私には無駄にすることができない。」


充遙「と、なると?」


公由「デモンズはこれから一枚岩、1つの組織にする。これまで派閥で隔てられていた組織は1つになる。そうなればデモンズはより洗練された、完璧な組織となる。 これだけあればSWORDに十分対抗できるはずだ。」


アカネ「あはっ、じゃあSWORDちゃんは……やっちゃうんですか?」


公由「あぁ。私はデモンズで……私が作ったもう1つの組織、SWORDを壊滅させる。SWORDもまた強く育ってくれた。 彼ら全員の身を……ソロモン様に捧げるのだ。そうしてソロモン様は遂に、復活の時を迎えるはずだ。唯一無二の絶対的な王が、世界を支配するのだ。」


そう語る盟神の目には、その奥に爛々と光る黒い光が見える。盟神は本気だ。デモンズを再建し、SWORDを壊滅させるつもりだ。


王夜「五十嵐さんと戒亡さんの意思確認はできています。2人とも、こちらに引き込めるかと。」


公由「それは良い。2人は貴重な戦力だからね。 さて……ここからが本番だ。ソロモン様の復活の時は、もう目の前だ。」


激闘の末に吾妻派を退けたSWORD、しかしかつてないほどに強大な脅威が、着々と動き出していた。



S8  85  恐怖の後で   完



次回予告

吾妻との闘いの後遺症からか、西蛇は悪夢に苛まれていた。

そんな中、慰安を兼ねてSWORDでは大規模なバーベキュー大会が開かれることとなった。


86 休息のバーベキュー