S8  82-2  焼けつく因縁 | レクイエムのブログ

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戒亡「そうがっかりしないでくれよ。 まだまだ沢山いるからさぁ!」


〔炭焔々〕により分裂したビカミングアッシュが黎花に迫ってくる。しかしその爪が黎花に触れるよりも速く、上空から次々と矢が放たれ、分身達を文字通り揉み消していく。


黎花「どれだけ分身を向かわせようと無駄。今のあなたは包囲されてるのよ?」


戒亡「包囲だぁ?」


矢が飛んできた方向を見上げる。空にはオーロラが広がり、その後ろには矢を番えた女神を模した幻影が戒亡を取り囲むように円形に並んでいた。


黎花「〔月女神の抱擁アルテミス・ヴェール〕、私が思えば、いつでも矢は射出される。」


戒亡「随分と乱暴なハグだなぁ!」


分身達と共に戒亡も腕から炎を放ち、黎花を迎撃しようとする。しかし黎花が言ったとおり、こちらが攻撃しようものならすぐに上空の幻影から矢が放たれてくる。


戒亡「チッ!」


黎花「分身も散らさない方がいいんじゃないかしら?全滅したらあなたのグラムも終わりじゃなくて?」


戒亡「言われなくても……そうするわぁ!」


分身達が踵を返し、戒亡の元に集結すると元の大きさのビカミングアッシュに戻る。しかし次の瞬間、幻影達の矢が一斉に戒亡に向けられる。


戒亡「やっぱ集まったらそう来るよなぁ!」


向かってきた矢を回避せずに、戒亡は自身の周囲を取り囲むように螺旋状に炎を放ち、その矢を全て蒸発させていく。


戒亡「〔火廻〕!!」


黎花「……上ばかり見てると、足元を掬われるわよ?」


戒亡「!」


その時、戒亡の放った炎を切断し、燈冶がその間合いに侵入する。再び自らの体を炎に変えた戒亡がその体を揺らめかせながら燈冶の放った一刀を回避する。


戒亡「マグマだからって炎に勝てるとでも思うか!?」


燈冶「いや、思わないね。」


黎花「炎になったその体で、氷に埋め尽くさせるとマズいんじゃないの?」


戒亡「!」


燈冶から離れれば再び氷の矢が上空から襲ってくる。今の戒亡の体は炎そのものだ。物理攻撃に対しては無敵だが、氷が溶けて生成された水などで鎮火されることは体を削られることになる。


戒亡「面倒くせぇなぁ……!〔煉下〕!!」


咄嗟に戒亡は能力を解除し、力強く地面を踏みつける。すると勢いよく地面から火柱が突き出し、氷の矢を弾くも、戒亡は舌打ちを零す。


戒亡「〔煉下〕もロクに出せねぇ……地面まで防火性かよ……!」


戒亡が追い込まれた場所は周囲の建物はもちろん、地面でさえも防火性となっている。そのため、地面を突き破る〔煉下〕も多くは出せない。そして防ぎきれなかった矢が容赦なく、戒亡を飲み込み巨大な氷塊と化す。


戒亡「氷で閉じ込めたからってなんだ……!こんなのすぐに溶かして……」


燈冶「いや、〔吹き飛んで〕もらう。」


戒亡「!」


氷塊に呑み込まれた戒亡めがけ、燈冶はマグマから形成した矢を放つ。矢が氷塊に深く突き刺さり、その熱でヒビが入った瞬間、極端な温度の変化に耐えられなくなった氷塊が爆発した。


戒亡「ガハァ……ッ!!」


黎花「〔驚天動地〕。 たとえあなたが歴史から抹消されたとしても、あなたとの因縁はあの家との因縁でもあるの。 だから……早めに決着をつけさせてもらうわ。」


燈冶「……!」


戒亡「お前らやるなぁ…… 下手したら他の姉弟達より強ぇんじゃねぇの?」


爆発をもろに受けながらも、戒亡は起き上がった。すると戒亡は突如、羽織っていたジャケットを黎花達の方へ放り投げたのだ。


戒亡「ホントは本部の中でやりたかったんだけどなぁ……」


燈冶(目隠し?いや、それにしては投げた位置が低すぎる。)


黎花(とにかく何かあるわね。 1度ジャケットから離れる!)


戒亡の放り投げたジャケットに何か嫌な予感を感じ取った2人がジャケットから離れるためにバックステップを踏む。その時、風が吹き、黎花達の回避した場所が風下となった。その風を受けた戒亡が悪意に満ちた笑いと共にジャケットへ火を放つ。


戒亡「今度はこっちの番だぁ。 〔麻火墜〕。」