S8  74-6  アクア・ヒットマン | レクイエムのブログ

レクイエムのブログ

ブログの説明を入力します。

フラミンゴ『う……うわぁぁぁぁ!!』


スプリンクラーから狂ったように溢れ出る水が弾丸のようにフラミンゴめがけ落ちてくる。コンクリートの床に穴を開けるような威力の水滴をフラミンゴが耐えられるはずもない。懸命に腕やチューブを振り回して水滴を落としていくも、確実にフラミンゴのボディを削っていく。


理央人「ここで完全に壊させてもらう!」


フラミンゴを覆っていた外殻すら砕け始めたその時、激しく降り続けた代償か、スプリンクラーから降る水が止まった。弾丸の雨を耐えたフラミンゴのボディは、ところどころヒビが入った状態となっていた。


フラミンゴ『う……あ……』


これでフラミンゴも先ほどのような攻撃はできないと踏んだ葵は勝負を仕掛ける。床に広がる水を更に操り、フラミンゴに追撃を仕掛ける。


理央人「女性の姿をした君にここまでの仕打ちをするのは気が引けるが……君がしたことを考えるとこの報いは当然だ。 バックアップも取れないほどに破壊する。」


フラミンゴ『私は……まだ……!』


ボロボロのボディで抵抗しようとするフラミンゴだが、床に広がる水溜まりから飛んできた水の弾丸が全てフラミンゴを撃ち抜く。撃ち抜かれたダメージでフラミンゴが俯いた、その時だった。


フラミンゴ『……しなさい。』


理央人「?」


フラミンゴが微かに呟いた。そしてはっきりと聞こえるようにフラミンゴが言葉を発した。


フラミンゴ『五十鈴病院にいる雲雀 麗桜那を殺しなさい。今なら護衛も薄いはずですわ。』


理央人「何!?」


どうやらフラミンゴは五十鈴街にいるデモンズ構成員に指示を飛ばしたようだった。葵がフラミンゴを追っている理由は雲雀の仇討ちのためだ。そんな葵が目の前で雲雀襲撃の指示を聞き、動揺する。


理央人(ハッタリの可能性もある……!だが、もし今本当に指示を出していたのなら……!)


葵の追撃が止む。その時フラミンゴが見せたのは、不敵な笑みだった。


フラミンゴ『あなたから隙を作れればそれで充分。 ここからはもう少しだけ、〔本気〕でいかせていただきますわ。』


理央人「!」


フラミンゴが何かを企んでいたことに気付いたその時、フラミンゴのボディが砕けるように周囲に飛び散った。飛び散った破片に思わず葵が目を覆った、そのときだった。


ブゥゥンン!!


理央人「……なっ?」


葵の腹に激痛が奔った。腹を見ると横一文字に血が噴き出していた。葵の立っていた階段の手摺りがいとも簡単に切られ、その斬撃が葵にまで届いていた。


理央人「フラミンゴの攻撃機能は完全に停止させたはず……!それがどうして……!?」


フラミンゴ『本来ならもう少し、重要な局面で使用したかったのですが、仕方ありませんわね。 ここまで追い込まれたのなら、発動せざるを得ません。』


理央人「……何だと!?」


フラミンゴの方を見た葵の目が見開かれる。そこにいたのは、人間と区別がつかなかった外見のフラミンゴではなかった。身に着けていた洋服は全てピンク色のアーマーへと変わり、四肢は黒光りするものとなり、腕には細かい刃が並んでいる。そして髪も短髪へと変わり、より機械らしい外見となったフラミンゴだった。


フラミンゴ『〔モード:ルージュ〕、お母様方が私にくださった、新しい姿ですわ。』


理央人「まさか……第2形態があったなんて……!」


フラミンゴ『フフッ、なかなかいいお顔しますのね。ご自身が必死に策を弄して破壊したのが外殻だった、その事実に震えていらっしゃるんですか?』


理央人(だが、おそらく概ねの攻撃方法やスペックは変わらないはず……!何かされる前に潰す!)


すぐさま冷静さを取り戻した葵は指を銃の形にし、フラミンゴを狙う。すぐさま足元に溜まる水から銃弾を放とうとした、その時だった。


フラミンゴ『すぐに終わらせてはつまらないですわ。』


理央人「なっ……!」


すぐ目の前にフラミンゴの姿があった。葵の所まで跳んできたのだ。そのままフラミンゴが放ったのは、鋭い蹴りだった。強烈な蹴りは葵を弾き飛ばし、窓から倉庫の外へと弾き飛ばす。


理央人「ぐあっ……!」


フラミンゴ『よく飛びますわねぇ!そのまま切断して差し上げますわ!』


地面に転がる葵めがけ、フラミンゴが腕を伸ばし、振り下ろしてくる。腕に装着された刃によってそれはまるで伸縮自在のチェーンソーのようになる。その地面を両断する一撃を葵はなんとか回避し、痛む体を無理やり動かして別の倉庫へと駆け出す。


理央人「まだだ……!まだ負けてない……!」


フラミンゴ『同じ手を何度も使う気ですの? まぁ、お母様方が作ってくださった外殻を砕いたのです。徹底的に痛めつけなければ、気が済みませんわ。』