先週は共読会。
小林秀雄の「本居宣長」を読み進めている。
宣長は医術を生業としていて
真面目一辺倒な広告文なんかを書いているのが
紹介されていて面白い。
六味地黄丸というお薬の紹介文だが
由緒やビックリするような効果なんて
全く書いていなくって
薬というものは良い素材を丁寧に調合しないと
効果が落ちてしまうのは周知のとおりで
そこだけに心がけました、
みたいなことを長々と書いているw
宣長は学問にこそ人生を賭けたのだが、
先輩筋に当たる儒者の伊藤仁斎などは
周りから何度も医者をやれ、
親に苦労をかけさせるなと言われたのを
学問だけを貫き通したから今に至れたのだ
と語っている。
宣長は
医者の術で身を養うのはつたなく
男らしくないことだが、
家産を衰退させるのも道でなく
そちらも力及ぶかぎりは真面目にやろう
と書いている。
彼は調剤、往診の記録を丁寧に
「済世録」という記録に残していて
一番忙しかったのは52歳の年
病家448件、調剤8165服、謝礼96両
だったそうだ。
しかし彼は学問の著作では
「済世」という言葉を決して使わなかった。
参加者さんの一人はある会議で
学者さんたちが、
皆すぐに「その研究は何の役に立つのか?」
と聞くが、研究というものに役に立つか
立たないかを求めないでくれ、と
声高に言っていたのを思い出したそうだ。
経済とは何なのか、学問とは何か。
学問を志すとはどういうことか、
深く想う時間だった。
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