一つの家族の持つ
問題解決の方法は
意外に限られたもので、

個々の家族にそれぞれ
固有のものである。

むろん問題の立て方も
同様である。
 
ある家族は、
困難にぶつかると
まず睡眠をきりつめて努力する。

ある家族はまず
たくさんの本をあつめて読む。

ある家族は親族会議をひらく。
 
それぞれの解決法には
それぞれ利点もあるが欠点もある。
 
睡眠をきりつめて努力するのは
短時間のうちに解決できる
限定した目的には
向いているだろうが、

期限もなく、
目標もあいまいなものには
明らかに向いていない。

本や親族会議は
同一内容のアドヴァイスを
与えない公算が大きく、

そこで得たアドヴァイスを
全部生かそうとして進退きわまる。
 
病者もそこに生まれ育ったものとして
その家族の伝統をうけついでいる。

―中井久夫
 
 
家族が問題解決の方法を持っている
という視点が斬新だと思うのだけど
 
組織でも解決法のクセ
みたいなものはあると思う。
 
だから、まず本人の問題だけでなく
試行した努力を聴きだす態度が
必要なのである。