2019/8/17、18に厚木市で開かれた

ごちゃまぜフェスに参加してきました。

 

 

“みんな違ってみんないい”を合言葉に

1日目は就労支援施設の作品を出店で出品。

 

キットパスという水溶性クレヨンで

大きな窓にみんなで魚を描いて

水族館にしたり、

 

25mほどある

大きなパラシュートを使って子供たちと遊んだり、

たくさんのブースが開かれました。

 

 

市内の学校にちらしを配布し、

朝日新聞や毎日新聞に取り上げられたこともあり、

331名の参加者がある大きなイベントになりました。

 

 

当日の様子は神奈川テレビや

NHK首都圏版のニュースでも配信されました。

 

 

翌2日目は

インクルーシブ(多様性を受け入れる社会)な教育の

一つとして注目を集めている『学び合い』という

授業の形式を発案、指導されている

上越大学の西川教授をお呼びしました。

 

西川純教授の『学び合い』を学びたい方へ

https://jun24kawa.jimdo.com/%E5%AD%A6%E3%81%B3%E5%90%88%E3%81%84-%E3%82%92%E5%AD%A6%E3%81%B3%E3%81%9F%E3%81%84%E6%96%B9%E3%81%B8/

 

ディスカッションと午後の実践ワークショップでは

企業経営に『学び合い』をつかい、

社長が部下に指示をしない

「指示ゼロ経営」を行っている

長野県伊那郡辰野町の新聞販売代理店共和堂の

米澤氏が登壇されています。

 

米澤晋也さんの「指示ゼロ経営」

http://www.shijizero.jp/

 

 

『学び合い』とは、

(一般的な単語である“学び合い”と区別するために

二重カッコの学び合いと呼ばれています)

学校の授業で画一的な教育の限界を超えるために

考案されたものです。

 

通常の授業では

先生がクラスに「教える」という形式で

授業が行われますよね。

 

『学び合い』では先生によって課題が提示されます。

 

例えば「制限時間40分内に教科書の

○ページから○ページまでをクラス全員で

解けるようにします」というような課題です。

 

この“クラス全員で”というのがポイントで、

勉強が出来る子はすぐに自分で

問題を解いてしまいます。

 

そこから子ども達は教室内を歩き始め

他の子を手助けしていきます。

 

先生が授業をする場合、

クラスの中の勉強が得意な子に合わせれば

苦手な子はついていけないし、

苦手な子に合わせれば得意な子は退屈します。

 

たくさんいる子供たちそれぞれに合わせた

授業というのは不可能ということです。

そうすると落ちこぼれる子供が出てしまいます。

 

その時に全員で問題に取り組みます。

人は一人ひとり違いますから、

誰か一人でも一緒に達成できないでいいとしたら、

もしかしたら明日は

その一人が自分になるかも知れません。

 

だから、何とかして全員で

達成できるようにすることを目指すことが

子供達自身にも利益になるのです。

 

 

西川教授は大学で教育の研究を始める前は

高校の教員をしていました。

 

(左下が西川教授。いい笑顔^^)

 

 

学力等が底辺の高校で、

子供達がドロップアウトしていくのを

どうにもできなかった。

 

いなくなってしまった後も

誰もリカバリーしてあげられない。

 

小学校の先生は、

キャリアは中高で考えると思っている。

 

中学校の先生は高校で考えると思っている。

 

そして高校の先生は、

 

小中学校でこんな風に育ったら

もうどうしようもないよ、と思っている。

 

誰も責任を取らない。

 

 

もう学校に来なくなった彼らを

どうしようもできない、

無力さがどうしようもなく悔しくて

大学に行って研究を始めたのでした。

 

『学び合い』で

本質的に目指しているのは、

勉強というよりチームで助け合って

何かを達成するということ、

 

チームとの関わり方や

コミュニケーションを学ぶことです。

 

これは決して

全員が全員と仲良くできるようになる、

すべきということではありません。

 

苦手な者同士というものはありますから、

誰かがその人とつながって

助けられればいいのです。

 

西川教授のチームは

『学び合い』を進める研究の一環で

子どもたちのキャリアについて研究をした際に、

全国の受け入れ企業側の

担当者さんにリサーチをしています。

 

そのときに、

学校で教えてくれて助かった、

これを教えてほしかったというものはありますか?と

アンケートしました。

 

驚くことに

そこで一度も、

 

「足し算を教えてくれて助かった」

「漢字が読めて助かった」

と言った人はいなかったといいます。

 

一度もです。

 

電卓を使ったり、文字の代わりに

マークや色で識別できるようにしたりと

工夫すれば解決できることだからです。

 

では、

求められているのは何でしょうか。

 

「あいさつができるようにしてほしい」

「困った時に助けを求められるようにしてほしい」

「間違ったら謝罪できるようにしてほしい」

ということだったのです。

 

 

『学び合い』の方法では

普段の授業でコミュニケーションを

訓練することができます。

 

学力が高い子は退屈しませんか?

と言われることがあるそうですが、

一般に勉強が得意な子は

放っておいても勉強するものです。

 

また、難しい内容を学力に劣った子に

説明する方法に四苦八苦しながら

取り組む子も多いです。

 

社会に出れば色んな人がいますから、

相手に合わせた説明の工夫ができる技能も

とても大切な能力になってくるわけです。

 

 

一方の、共和堂の米澤氏は

地方で、新聞販売代理店という

いわば衰退していく仕事を

どのように発展させるかに悩み続けてきました。

 

新しい収益の柱を作ろうと

まず地元長野の美味しい野沢菜漬を作り

大ヒットします。

 

しかし、不良品を出してしまって

野沢菜漬は頓挫。

 

他にいくつか商品開発するも

そこまでのヒットにはならなかった。

 

その時米澤さんが考えたのが

「信州味噌で作った銀ダラの西京漬け」。

 

これが・・・

ビックリするほど売れなかったのです。

 

長野県、魚が美味しい感じしませんもんね。

一回だけ熊本から注文があったと言ったかな?

 

その時に、

米澤さんは自分で考えて社員を使う、

指示するという形式で

何かすることを諦めたといいます。

 

その後米澤さんは、

ライフワークにしている

「夢新聞」を作るワークショップで

とある小学校に行き、

初めて『学び合い』の授業風景を見ました。

 

最初は、

「おお、これが話しに聞く学級崩壊というやつか!」

と思ったそうですw

 

でも、歩くしがやがやしているけれど、

助け合って皆で課題を達成してしまった。

 

それで校長をつかまえて根掘り葉掘り話を聞き

西川先生に会いに行きました。

 

これだと思って会社で実践していくのに

一番大切だったのは、

 

やり方を伝えただけでは

上手く社員が動いてくれなくて、

 

「一人も見捨てない」ことが

全員の得なんだということ、

それをやりたいのだと

社員全員に伝えることだったといいます。

 

そこから少しずつ社員は変わり始めました。

 

そして、

一人ひとり社員が何のために働いているのか、

実現するにはいくら給与が欲しいのかを聞いて、

そこから逆算して

皆で売り上げ目標を立てて活動していきました。

 

新聞配達は確かに衰退産業かも知れませんが、

毎日家に配達員が伺うというのはインフラです。

 

新聞を読んでいるご老人の家で

ポストに新聞が刺さりっぱなしだったら、

もしかしたら中で倒れているかも知れない。

 

本当に危機一髪

救助ができて表彰状をもらうこともありました。

 

 

ある年いつもの配達員さんにと

お年玉が会社に届いたことがあり、

それから年賀状のお手紙が

会社に届く量がどんどん増えていきました。

 

以前は地元の他の会社と合わせて

「三悪堂」と呼ばれ、

やっとの思い出採用した新入社員が

空き巣で逮捕されるなど、

惨憺たる状態だったのに、です。

 

 

地域おこしのプランニングに

『学び合い』を使ったワークショップも行うようになり、

当初収益に結びつかないなと思っていたところ、

町から大規模な委託費が出て

町おこしを受注することになりました。

 

地元ホテルの経営も始めるなど、

新聞店とは思えない活動を

社員が自ら開拓していきました。

 

完全に「指示ゼロ」が

根付いたなと思ったのは

前澤さんが「俺、社長やめてもいいかな?」と

聞いた時のことです。

 

たっぷり数分の沈黙が終わると、

全員「はい、分かりました」と

あっさり了承されてしまいました。

 

ちょっと悔しく思いながら

「じゃあ、誰が社長やるんだ?」と聞くと、

全員一致である女性社員の名を上げたそうです。

 

その人は真面目で

少し大人しい人でした。

 

だから、後で本人に

「どうして社長やろうと思ったの?」と

聞いてみたそうです。

 

彼女は、

 

この会社は

「一人も見捨てない」会社なので、

自分が社長をやっても大丈夫かなと思った、

と答えたそうです。

 

米澤さんは、今日は実は

一番先生方に

メッセージを伝えたかったと仰いました。

 

『学び合い』という方法は

親御さんや他の先生方から

反発を受けることも多い

 

それなら先生は何のために存在するんだと

思われてしまうこともある。

 

それでも、そのやり方は

大人の社会でもきちんと通用するし、

間違っていないんだと

経験から自信を持って言える。

だから勇気を持って欲しいと仰っていました。

 

理念と実践が一緒になっていて、

一社員の方が社長をやっても

皆がついてきてくれると思える、

そういうチームを作れる。

 

そういう力があるのが

『学び合い』というメソッドなのです。

 

 

(ごちゃまぜフェスの戦利品♪)

 

 

今、ダイバーシティとか

多様性のある社会や会社ということが

盛んに言われています。

 

身近には

障害者雇用の割合を上げるとか、

保育園を増やすなどの

議論がされていて

 

“弱者を保護する”

という意識になりがちだと

感じています。

 

そうではなくて、

 

まったく新しい可能性を

開くものとしての

“多様性”の力を

感じることができました。

 

 

■□ ■ □■

自分を知り、自分を楽しみ、
自分を通して幸せになる

『ココロの学校』代表 
高野 真俊(タカノ マサトシ)


【プロフィール】
1981年生まれ。
埼玉県富士見市出身、所沢市在住。
 
NPO法人日本メンタルヘルスケアサポート協会
プロフェッショナルカウンセラー、
株式会社メタモルフォーパートナー講師、
チャイルドライン立川カウンセラー。
 
妻の産後うつをきっかけに心理学を学び始める。
交流分析を入り口に、ゲシュタルト、
クライエント中心療法等を主軸とした
個人へのカウンセリングを行うかたわら、
コミュニケーション、メンタルヘルス、
働き方などに関する研修や講演に多数登壇。

これまでに東京高等裁判所、防衛省はじめ、
学校、自治体、企業などで
受講者数累計1300人以上に心の在り方を伝えている。
 
■ 無料メール講座配信してます
自分を知り、自分を楽しみ、自分を通して幸せになる

「ココロの学校通信」
http://bit.ly/kkrgk

■ Facebook
https://www.facebook.com/whiteprizm