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 不満はないのに嫌になってしまった結婚生活を、終えようと思っ

たのが暑い夏の日だったのがいけなかった。出ていく気になれなく

て、夫に三度も毒を飲ませた。それでも逃げられなかった絶望には、

家族と信仰という建前と、心との間の亀裂がそのまま残されている。

 

千夜千冊全集 巻7 「男と女の資本主義」P68(短文稽古)