内容を少しご紹介します。


著者の渡辺さんは今89歳。

2.26事件の前日に戦争反対派の
軍人だったお父さんが暗殺された時、
9歳でした。

真面目で負けん気が強く、
その分苦労も多かったのか
うつ病を患われたこと、
膠原病の治療で骨粗鬆症になり、
脊椎がつぶれて15cmも身長が
縮んだこと、
そんなご苦労にも触れられています。


中から一つ考えさせられた箇所を。

渡邊さんの住む修道院は、
大学の建物の四階にあります。
毎日九人乗りのエレベーターで出勤し、
帰宅する。

ある日階数ボタンを押した後、
無意識に「閉」ボタンを押している自分に
気付いたのだそうです。
自然にドアが閉まるまで、
大体4秒くらいの間、待てない自分。
「4秒すら待てない私」でいいのだろうか、
と考えさせられたと言います。

それ以降、一人で乗っている時は「待つ」
決心をするとともに、他の物事も待てる私に
変えていったそうです。
そして待っている間に、小さな祈りを
唱えるようになりました。

渡邊さんは、
「時間の使い方は、いのちの使い方」
と結んでいます。


僕はとある時間管理のビジネス書で、

エレベーターに乗る時に、
階数ボタン→閉ボタンの順で押しがちだが
閉を押してから、閉まるまで少し待つ。

閉ボタン→階数ボタンの順に押した方が
待つ時間は短縮できる、と読んだことが
あります。

成程と思いましたが、
エレベーターに乗ってもドアが完全に
開き切らないと閉ボタンは効かないので、
まあいいかと思っていました。

それに比べて、ただ待つことの捉え方の
この違い。


HUNTER×HUNTERという少年ジャンプの
マンガがあって、
「蟻の王」という話しの最後を読むと
いつも泣いてしまうのですけれど、
その蟻の王メルエムと
HUNTER協会の会長ネテロが闘う場面が
あります。

ネテロは攻撃する前に必ず両手を合わせて
拝むのですけれど、
一見無駄なその動作が彼の所作の起点と
なって、蟻の王も超えられないスピードの
攻撃へと変化します。

メルエムは、その人類の極致とも言える
攻撃が、
「狂気とも思える信念に膨大な時間身を
委ねた」結果なのだろうと思いめぐらし、
讃嘆します。


いずれも、信念なのかも知れません。
ビジネス書の著者は効率を、
ネテロは強さを、
渡邊さんは救いを、
それぞれ信じて、
それをいのちの使い方に変えていきました。

僕はそういえば、両手が塞がって本も
読めないような時のために、
「考えたいこと」をいくつか用意
しています。

これもまた一つの信念かも知れません。


あなたは、信念を持って生きていますか?