先日


北仙台『和酒バル 二喬/NIKYO』へ御来店された


≪伯楽星≫の生き字引Sさん♂。


今週頭に自分が参加してきた


清酒製造技術セミナーの配布資料に目が釘付け Σ(゚Д゚)


それはそれは熱心に熟読されていましたYO♪


・・・近いうちに酒蔵でSakeを仕込むつもりですね(笑)


まぁまぁまぁ、


男ってのはとかく自分自身の好きなもの、趣味などには盲目的に没頭するものです。


湧いた疑問には分かる範囲で


お酒のコンシェルジュ応対致しますよ(`・ω・´)ゞ










そんな感じで


たま~に醸造技術的なトークも繰り広げられる


『二喬/NIKYO』のカウンター。


それも一つの肴かなぁと思い、


カウンターでは応対していました。


ネット上では伝わりづらいと思い、特に取り上げませんでしたが、


これからたま~にブログでも何かネタを提供していこうかなぁと思いました。


Sさんのように期待して下さる方々もいらっしゃるので(≧▽≦)


ただ、ワタクシ、技術者が本分ではないので


あくまでもお酒を飲む際の想像力を掻き立ててくれるような


レベル程度を意識します。


全く興味のない方はブログテーマ「理系的御勉強」はスルーして下さいませ。










さて、今回取り上げるのは


4VG


4-ビニルグアヤコールと言います。


まずSakeの視点から捉えていくと、


穀類(つまりSakeの原料となる米)のヘミセルロースに結合している


フェルラ酸が麹菌の酵素によって遊離して生成されます。


この香り物質、


前述の清酒製造技術セミナーでは


近年の問題に挙がる異臭の一つとして取り上げられていました。



画像の通り、発生原因を麹の雑菌汚染として


各種対策を採るよう醸造の先生方は仰っていました。


というのも、


新潟県醸造試験場の渡邊健一先生曰く


【そもそも清酒用の酵母は4VGを生成しない】

【そのように偶発的に育種されてきた】


と言っていました。


重ねて言うと


Sakeにおいて4VGはアルコールを生成する微生物である酵母ではなく


糖を生成する微生物である麹菌またはその他の微生物が


生成する香り物質として捉えられています。


近年はSakeの製造現場が衛生的になってきたので


4VGが目立つようになったんでしょうか。


・・・え?


じゃあその4VGってどんな香りでどんな悪さをするのかって???


それは下記のワインの項に説明を譲ります(*^m^*)










まずワインの香り物質の数について、


Sakeには200と言われますが


ワインだと500あると言われています。因みに珈琲は580ほどbyワイナート


それらの全てが美しい香りを放つものではなく


オフフレーバー(欠陥臭)としてワインに好ましくない影響を与えるものもあると


されています。


そのジャンルの一つに、フェノール系のオフフレーバーとして


フェノレというものが近年ワイン界ではチラホラと話題に挙がります。


その白ワインにおけるフェノレとして数えられるのが


4VGです。あと4VPもあります。


ワインの視点ではその4VGは


カーネーション、水彩絵の具、薬品


などと香りコメントされます。


何となく伝わりますか???冷涼感がありツンとしたイメージの香りです。


ここで難しい問題があり、


例えばカーネーションと言われると良さそうな気がしませんか。


でもワイン醸造上は好ましくないとされます。


何故か。


それは強い4VGの香りがブドウ由来の香りをマスキングしたり


高濃度になると異臭となるとされるからです。


この点は醸造家と実際の飲み手の間には理解において


大きな溝が存在してしまいますね。立場によって評価が分かれる所です。


まぁその話には帰結点がないのでそんな状況であるという事だけ紹介して(笑)


ワインの場合4VGは


ワインの酵母がケイ皮酸脱炭素酵素を保持していて、


それがブドウ果汁中に含まれるケイ皮酸類、


上記でも登場したフェルラ酸とp-クマル酸を前駆体として


酵素作用を施す事で生成されます。


因みにワインはよく酵母無添加、天然酵母・野生酵母仕込などとも言われますが


人為的に培養酵母を添加せずに醸造する事があります。


その際も、もれなく4VGは発生します。


培養酵母においては


ケイ皮酸脱炭素酵素を保持しない酵母の育種というのも行なわれていて


各酵母メーカーが販売しています。


一説には


近年、日本の甲州種の白ワインに香りが感じられるようになってきたのは


4VGによってマスキングされていた香りを解き放つ


製造(上記のような酵母の使用など)をするようになったからとも。


ただ、


フェノレというのは主に赤ワインに強く言われる事で、


白ワインにおける4VGの欠陥臭性格はあまり強くは言われません。


上述したように、理解のしどころが非常に難しい問題なんです。。。










それも踏まえて珍しくビール飲料のお話。


ポータルサイトで「4VG」と検索するとトップにくるのは


アサヒビールのページです。


実はアサヒビールでは名前もそのまんま


4VGという商品を2010年にリリースしています。


それによると


「くつろぎの時間にふさわしい香り成分「4VG」を採用」

「ドイツのヴァイツェンビールやベルギーのホワイトビールなどに特長的な香り」


とあります。


ビールの視点では、製品における酒質イメージに違いはあるでしょうけども


タイプによっては4VGウェルカムなんです!










さてさてここで珍しく蒸留酒の視点!


特に泡盛のお話(`・ω・´)ゞ


泡盛、ご存知の方も多いと思いますが


全量麹米で製造されています。


そぉ麹。。。


勘の鋭い方ならお分かりでしょう、


泡盛にも


4VGが含まれています。


全量麹米なので、その他の焼酎よりも多いようです。


さてここで新しい展開。


今回のテーマの4VG


熟成を経るとバニリンという香り物質に変化します。


その名の通り、バニラの香りを放つ物質で


美味しそうですよね( ̄▽ ̄)


そぉなんです


バニリンの前駆体に当たる4VGは


泡盛としてもウェルカムなんです!


泡盛メーカーは数社ほど4VGを大量生成する酵母の開発に熱心ですよ。










今回はこんな所です。


この理系的御勉強では


醸造上の視点と、アルコール飲料としての評価との


違いと伝えられたらなぁと思っています。


また気が向いたら書き綴ります。


歴史ネタのように・・・。


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和酒バル 二喬/NIKYO

仙台市青葉区昭和町5-55(仙台浅草内)
JR・地下鉄とも北仙台駅から徒歩3分
TEL:022-728-2033
HP:http://nikyo.net/  ←←←店内のイメージがチェックできます♪

営業時間:平日18-LO23時、日曜12-LO17時
休日:不定休
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