毎年1月の定例行事になってきた徳島美波での千羽海崖トレイルランニングレース。いつもバシッと決まらず、宿題を持って帰るワケなんだが、今回も御多分に漏れず、難題を出されてしまった。今回のレース、暫くは「忘れられない」と思う、もとい、「忘れてはならん」。反省会を兼ねて、文字にしてみる。

40年に一度の大寒波。まず会場まで無事に辿りつけるかが問題。DNSもよぎりながら、天気予報と道路状況をこまめにチェック。早々にベッドに入るが、天気と道路が心配で寝つけず、、。こういうとこ神経質、、。明け方の凍結を避ける為、午前1時に出発。それでも鳴門あたりは吹雪。怖っ。4時に会場到着。早すぎるので、車中でシュラフに包まって夢うつつ。寒い。

スタート直前の気温は-1℃。開会の挨拶聞きながら身体を動かす。8:15、スタート。序盤は特に渋滞しないのでボチボチいくつもりが、1人スゴい勢いでTOPを走る人がいて、リズムを乱され、早速膝下と臀部に疲労を感じる。一旦落ち着こうとペースダウン。

ちょっと疲れるには早すぎるなぁ。トレイルから遠ざかっていたからか、序盤の階段ゾーンが例年よりキツイる。心肺は安定していたので、単に筋力の低下か。特に下りはドタドタと鈍重な走り。エキセントリックな疲労が溜まっていくのが感じられ、「コレ持つかな?」と心配に、。(帰宅後、「もしかして?」と、久しぶりの体重計。70kg。重いわっ!不摂生が過ぎました。。)

ステップで膝下が、PWで臀筋が疲れ、下りはドタバタでエキセントリック。何ともアップダウンがしっくりこないまま、5~10番目くらいで、エイドに到着。こっから長いので750mlフルボトルチャージ。揺れて走り難い。来年出るんだったらボトルポーチかな。そこから最高峰への登り。落ち着いてステップを刻むけど、膝下の疲労が溜まる。これくらいは走れてたような気もするが、。うーん、どうも、上手く走れない。

最高峰から下りの林道~舗装路。ここは大きい動きで気持ち良く走れた。その後の登りで、『普段はロードの方ですか?』と声を掛けられる始末。まぁ、確かにロードしか走ってないわな、と思い、「はい」と答えた。しかし、そんなロード走も、劇的に追い上げたり、後続を離したり、といった“飛び道具”にはならない。その後の下りでI氏に抜かれる。昨年も同じようなトコで捕えられたな。続いて鏑木さん。海岸はこちらに武があるかも、と苦手な下りだけど二人を見失わないように頑張る。何とか3人パックで海岸に出る。

何故かわかんないけど、海岸は結構走れる。前走2人にも追いつき、5人パックで海岸を進む。「さすがにここでは千切れないか、。海岸以降は最高峰付近からの折り返し。I氏行きそうだな、、。何とか粘って、最後のロードまで持ちこめるか、。痙攣しそうだから、もう少しで無双モード入ると思うんだが、。」
 
そんな考え事しながら走る。それまで足くらいは所々で海に浸かってたが、腰までドボン。「あれ、こんなトコあったけな、。」と。何か先も怪しいし、後続に「ロストじゃない?」と確認するも、勝負の顔して迫ってくるので、こちらも逃げる。ほぼ垂直の崖をよじのぼるか、海に入るか、というとこに来て、海しかないよなぁ、と入水。胸まで浸かる。更に、もう一歩進むとズボっと。足がつかんと思った瞬間、両足が痙攣。どうしようもなくなり、リアス式海岸の複雑な波に遊ばれる。「コレやばい!危ない!」本気の声が出た。どうやったか覚えてないけど、必死に岩によじ登って、何とか脱出。危なかった、、。

そこで道は途切れ、鏑木さん含め、5人でコースロストを認める。なんかの糸が切れた。

来た道を戻りながら、口では『気持ちを切らさない』とか『まだ追い上げる』と、格好いい事言ってたけど、頭の中はカオスだった。「どれだけロストした?」「何でこうなった?」「追いつけるのか?」「真冬に入水?」「誰の所為だ?」「先頭は自分だ、謝らなきゃ」「服乾くのか?」「さっき死にかけたぞ」「これで何人抜かれた?」「どうなるんだ?」「リタイアか?」「めっさ寒いやん」「鏑木さんは?」「I氏は?」。気持ちを強く持たなきゃいけないのに、パニックに陥った。そして、冷えのせいにして、脚を止めてしまった。鏑木さんとI氏は力強く走り、小さくなって、見えなくなった。

そこからは、歩いたり、ちょぼちょぼ走ったり。「ロストしたから、」「海に入ったから、」「先頭だったから、」「自分だけ波に遊ばれてるし、」「冷えのせい」「低体温になって、」「千羽は苦手」そんなイイワケを探しながら、。格好悪いし、なにより弱い。情けない。最後のロード区間、振り絞ることもできず、歩きながらゴール。順位は63位、タイムも5時間40分と、目標からは遠く離れた数字。まぁ走ってないんだから当り前か、。。レースは以上。


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表彰式での鏑木さんの配慮もあり、海に入ったのは楽しい思い出という事で締められたが、正直言うと、ここら一連の出来事は個人的には笑えない。自分の弱さが露呈した。精神的にも肉体的にも、。入水後も迷いなく走り、小さくなっていったライバルI氏の背中と、イイワケを探しながら脚が止まり、それを見ていた情けない僕の姿は忘れてはいけない。たとえ海への入水がなかったとしても、実力でI氏には勝てなかったのは明白。

先般、精神的に弱い自分を認め、『克己』という言葉を選んだばかり。今回の出来事で改めて気が付かされた。僕は弱い。練習量は少ないし、練習の質もしれている。食べ物にも、体重にも気を遣ってないし、楽しいことがあれば流されてしまう。すぐに慢心してしまうし、人を見て油断もしてしまう。ちょっとしたことでビビッて諦めるし、。全ては気持ちの弱さじゃないのか。弱い。弱い弱い弱い弱い弱い!この弱さの殻をぶち破れるか。将来はそこに掛かっていると思って、今年1年邁進して欲しい。

とまぁ、海水のしょっぱい思い出はこれまで。2/7の別大マラソンに切り替え。これでロード走り込みをいい形で終わらせて、トレイルシーズンに気持ち良く移行。その為にトレイル練を犠牲にしてきたワケで、。今年も始まったばかり、こんなことでしょげててどうする。


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