何年ぶりだろう。OSJ氷ノ山。第一回に参加して、あまりのマゾコースに「もう出ない」って思ってた。けど、なんか今年は挑戦する気になったので、エントリーしてみた。

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【スタートまで】

 10/6の週は何故か急に飲みに誘われる事が多く、10/10~10/13は姉の結婚式で親族一同集まって連日の宴。10/14からコンディショニングを開始するも、仕事がカオス。レースの事を考える間もなく、金曜日になってしまった。
 そしてトドメに、師匠の直前DNS宣言。焦ったけど、嫁さんが使用予定だった車は譲ってもらって、宿は現地で何とかすることに、。金曜は、三木に帰省している嫁さんのとこまで行って、そのまま三木に宿泊。ドタバタ。

 氷ノ山は良い。何より近い。10時過ぎまで嫁さんの実家でテレビ見てた。途中寄り道をしながらでも、三時間弱で到着。近い。良い天気で、暑くもなく寒くもなく、山はほんのり赤み掛かって、なんて気持ちが良い場所か、。ここでゆっくりしたかったけど、宿を探さねばならないので、受付を済ませて、鳥取駅周辺まで移動。

 とりあえず、ビジネスホテルをシラミ潰し。一件目、「あいにくですが、、」二件目「申し訳ありません、、」三件目「すみません、、」四件目「残念ですが、、」疲れてきた。5件目「喫煙室なら、」⇒『そこでお願いします。!』もう疲れてたので、考える事もなく宿確保。http://www.resh.jp/

 眠い。ここ数日の疲れがある。左内腿なんて、既に痙攣し掛かってる。電解質とアミノ酸を補給しておいた。眠たいけど、何か食べなきゃと、町に出るも、早すぎてあんまり店が開いてない。「モサエビ、白イカ」と大好物の看板を横目に、駅内のそば屋で炭水化物を摂取する。モサエビ・白イカ・ビールのお預けが一番ツライ。

 部屋に戻って、レース準備を済ませて、風呂に入る。スポドリ飲んで、おやすみなさい@18:00。@20:00、目覚める。そりゃそうだ。寝るの早すぎ。脳も少しすっきりしたので、テレビを付けて、コースマップを確認。テレビの松岡修三が暑苦しいが、明日のレースでも大事になってくる事を言っている。ふしぎ発見が終わったあたりで再度眠気が来たので、真の就寝@22:00。

 @3:00起床。目覚めは良い。が、左脚の痙攣はまだ気になる。どうなるかと心配だが、これでDNSする事もあるまい。4:00前にホテルを出て、コンビニて朝食をゲットして、会場に向かう。@5:00会場到着。寒い。冬だ。フリースとダウンベストを着こむ。手続きを済ませて、スタートを待つ。そわそわする。寒いので、ちょっと多めにアップをして温める。空も白み始めて、スタート整列が始まった。前の方に行きたかったが、3mほど後ろで断念。まぁ、前の人らには、コース上で挨拶出来るでしょう。スキー場から吹き降ろす風が冷たい。


【スタート~第一チェック】

 スタートからはスキー場の上り。マップでは舗装路上りとなっていたが、誤情報の模様。ただの上りではなく、コース上最大傾斜の上りがスタートして1kmくらいで出てくる。

 スキー場は上りも下りも好きではないけど、一先ず最初は頑張って抜け出ないといけないので急ぎ目に、それでいて消耗しないようにゆったりと(矛盾?)進む。序盤に飛ばす人も出てくるかと思ったけど、あんまりいない。スキー場の勾配で、フルイに掛けられている模様。少し進むと、スキー場とは思えないバーティカルな登山道。ここは致し方ない、と続々と後続に譲る。ふと振り向くと、大蛇のような後続の集団が見えた。しまった、緩め過ぎた。ちょっとギアを上げて、尾根に乗っかる。

 開けた尾根に、朝日があたって、最高。遠くの氷ノ山頂上までのトレイルがばっと開けた時は、感動した。序盤も序盤なので、気持ちよさに酔って、突っ込み過ぎないよう、マイペースで進む。フラットはいつも通りに走って、下りは優しく、上りはステップ、急上りは歩いて、最後に脚を残す、こんな感じかな。

 良い感じで尾根を進み、鉢伏山への上り。ダラダラ歩いたので、結構抜かれたが、その後の下りとロードがあるので、ある程度は追いつくだろうと思っていた。案の定、スキー場の下りでは、前走数名がスピードダウンしたので、一気に距離を詰めた。林道に出た所で数名パスして、第一チェックに到着。エサは殆どなかったので、水だけ飲んで出発。前には数名見えているが、後ろからは続々来ている。まだある程度固まってるな。


【第一チェック~第二チェック】

 こっからロード、一応勝負区間。これくらいの距離のロードで、しかも下りであれば飛ばしてもそんなにダメージは無いと判断。ボトルの水を捨てて、GPSでキロ3分45秒まで飛ばしてた。二人ほど抜いて、集落まで下りてくると、次は舗装路上り。舗装路下りでエイドだと思ってたので、水を捨てたのに!!前にも後ろにも一人ずつ見えてるけど、必死のパッチでエイドにたどり着く。

 エイドをパスする2人に対し、完全に脚を止める私。両ボトルをフルに、。初めてのダンジョンに入る際は、HP/MPフルがRPGの鉄則。冷たい山水で顔も洗おうとするも、ボランティアの人が顔と頭を聞き間違えて、頭から水をばしゃあ、ちがーう!!冷たぁ!!寒っう。私も周りも「わっはっは」と笑いながら、エイドを出た。やばい、楽しくなってきた。

 エイドのお陰様で、気持ちも入ったので、ジワジワ上る嫌らしい林道だけど、軽快にステップを刻めた。ここに来るともう一人旅状態なので、念の為、熊鈴を鳴らした。何とも、これは、、うるせえ。。。熊鈴をしまった。なんだかんだで林道はそれなりに走り切った。調子の良い時に稼いでおきたかったのもある。林道終盤のエイドで梅干しを補給。効く。スタッフ曰く5位だ、とのこと。それくらいかと思ってたけど、まだ先が長いから、この時点の順位は、参考でしかない。ついでにTOPとは15分差とのこと。さすがだな。

 しばし林道を進むと、手作り感のある沢横のトレイル下り。これが結構な激下りで、かつ滑り落ちそうな場所。慎重に歩いている前走をパス(ゴール後の話で、慎重になってたんではなく、脱水・ハンガーノックだったとの事)。イキナリ出てきたアドベンチャーコースで、細かいロストを散発。藪で擦れて腕も痒い。手も尻も泥だらけ、。一回足を滑らし1mほど下の沢へドボン。膝まで水深で何とかセーフ。ちょっと場所が違えば、4~5mの落差だった。危ない。

 舗装路に出てきて一安心。かなりバラけてるはずなので、ここはぶっ飛ばさずにキロ4分ちょいで回復を図りながら走る。舗装路終点に第二チェック。第二チェックを出る前走2人を目視確認。おお、射程圏内か?


【第二チェック~第三チェック】

 第二チェックでもお水を満タンに。かなり暑くなってきたので、塩分補給に梅干しとおせんべいも口につっこむ。「まだまだ元気やね。前の2人は行けるんちゃう?」とか「一位は15分先、H沢さんだよ。」とお喋りのスタッフさん。『まだまだ長いですから、ぼちぼち行きますわ―笑。』と返して、登山パートに入る。

 ここはステップで上れる斜度と判断。何としてでも最後の林道まで脚を残しておきたい。つづら道の先に2人が見える。歩いている様子。ちょっと色気が出たのは反省だが、ステップを刻み続け、徐々に徐々に詰めていく。地味な勝負。
 1人目を抜き、2人目も近づいてきた。歩いて、走って、、。なかなか近づかないが、我慢してステップを刻む。少しずつ少しずつ近づき、漸くパス。激登りは終了し、ある程度緩やかなパートに入っていたので、抜いたその瞬間に喰らい付かれないように一つギアを上げて、引き離した。一つの心理戦。

 まさかとは思ったが2位に浮上。しかも、まだ走れている。上山高原に到着し、エイドで補給を済ませて、舗装路のじりじりした上りを進む。飛ばし過ぎかと、不安になった。後ろには、知ってる人でも後半走れる選手が数名いる。林道で凄いスピードで来るんじゃないか、と怖くなった。

 おんたけ100直後のT辺さんの言葉を思い出した。「意識が後ろを向くと、走れなくなちゃう。」後続の事を気にしてもしょうがない、前を向いて走る。幸運な事に、まだ2位なので、H沢さんが前を走っていてくれる。林道であの白スパッツを拝んでやろう、とモチベーションを保った。

 舗装路を終え、トレイルに入る。地味に上り下りがある。ここでの上りは、ステップから踏ん張り上りに切り替える。ステップがキツくなってきたのもあるが、林道に向けて膝下を回復させたかった。途中、コース上にタッキーがいて、「いける、逆転いける。」というので、『H沢さんは?』と問うと、「15分前!」。『無~理~。』と言ってみたが、林道であの白スパッツを一目見たいと思っていた。

 比較的走りやすい下りのトレイル。最高に気持ちがいい。速い人はここで飛ばして詰めてくるだろう。しかし、疲れた脚で無理に飛ばして、転倒して、トラブルを抱えるのだけは避けたい。安全策を取った。トレイルが終わり林道祭りが始まった。しばらくすると第三チェックに到着。

【第三チェック~ゴール】

 「H沢さんはね、25分くらい前」って、『25分!?』さっきんとこからここで10分差つけられた!?ワープやないか!まぁ、物理的にありえないので、タッキーかこちらのスタッフのどちらかの情報が間違っていることはわかった。何れにせよ、前にいることには変わりはない。
「こっから林道だけど、比較的フラットだから、」というスタッフに、『またまた~、騙されませんよ笑』とお喋りして、祭りに突入。

 確かにフラットだけど、微妙な上がり下がりがある。平坦~下りは楽に脚が出るが、上りはなかなか脚が出ない。たとえ僅かな、本当に大した事ない傾斜でも、走りにくい。上りが長く続く場面では、歩きも挟んでしまう。上りで気持ちがやられたか、フラットもキツく感じる。ここまでか、。

 ふと昨夜のテレビで見た修三が出てきた。(どうして諦めるんだ!?自分で勝手に無理だって決めつけるな!まず走ってみろ!ボールは取れるかわからないけど、走らないことには取れない。ボールを取るか取らないか、じゃない。走るか走らないか!)

 危ない危ない。持ち直した。ありがとう修三。

何と か走り続けるものの上りはやはりキツイ。ちょっと長めの上りで、ついに、ついに、後続が現れてしまった。意識が前を向いていただけに、後ろからの登場はショックだった。本当に心が折れかけた。3位でも良いや、って一瞬思った。

 同じ経験を思い出した。今年のおんたけ100K、70km地点まで入賞圏内。I十嵐さん・T海さんと2~4位集団で走っていたが、脚の痛みを理由に心が折れた。『4位でいいや』って。その後、1人抜かれ『5位でいいや、入賞だ』って。。また1人抜かれ、総合入賞を逃しても、『年代別入賞だわ』と、ぼろぼろぼろっと崩れ去った自分、。また同じこと繰り返すのかい?

 『喰らいつけ』、『我慢だ』、『チャンスは来る』。気が付けば心の声が口に出てた。ずっと喰らい付けと唱えながら、目視出来る距離はキープした。距離は縮まる処か、徐々に離れていく。100mくらい離れても、喰らいつく事だけ考えてた。

 林道の開けた場所から遠くに建物が見えた。ゴール地点だ。前走には何とか喰らいついてる。
離れてるけど、目視出来る範囲に走っている。最後の舗装路がどんだけあるか分からないが、そこで勝負に出ようと考えた。

 そう思うと、少しずつ脚のサイクルが良くなって来た。ゴールが見えて、安心からリミッターが取れたか。徐々に徐々に、本当にじわりじわりと距離を詰めた。後ろ5mまで来た時に、振り向かれて目が合った。『逃げられるっ!?』と思ったが、アクションはなく、地味にパス。本当はここで一気に差を付けて、心理戦を制したい、が脚が出ない。

 すぐ後ろに居る。ここでダッシュキノコが欲しい!暫く位置を保って走ってると、木材置き場を通過した。『これは林道終了のサインでは!?』予感はアタリ。先に黒光りする地面が見えた。『来た!舗装路!!』しかも下り。兎に角、延ばした。時計は電池切れてたけど、体感的にキロ3分50秒くらい。

 数分間、必死に走った。が、思ってたより舗装路が長い。下り切って終わりかと思いきや、最後の最後で上らせる仕打ち。。歩いてしまったよ。最後のゲレンデ下りの直前に後ろを振り向いた。振り切った。(ここで付いてたら心折れてた)ゲレンデの上からゴールが見えた。ここで漸く2位は確信した。ゲレンデをしっかり走って下り、ゴールテープを切った。


【最後】
 1位は無論H沢さん、握手で迎え入れてくれた。3位は広島のN田さん、何とロングトレイルはお初とのこと。互いの健闘を讃えた。

 2位の感想は、、特にない。嬉しいは嬉しいんだけど、両腕上げてヤッター!!!って感じでもない。良い表現方法が思いつかないので申し訳ないが、『ああ、何だこんなもんか』をポジティブにしたような感情。

 タッキー計測でやはりH沢さんとは、通過時点では15分差が正解だった模様。ゴールは11分差だったので、詰めてたみたい。最後の舗装路ダッシュが効いたかな。

 が、ここじゃない。まだプロジェクト1年目のお尻の段階。2年目、3年目と続けて行かなければならない。暫くは余韻に浸って良しとするが、また、次に向けて、未来に向けて、自分を高めて行こうと思う。