こんにちは、今回も当ブログをご覧になっていただきありがとうございます。梅雨が明けてから、暑い日が続いています。首都圏はじめとした新型コロナ感染者数の増加もちと気がかりですね。どうかお体には気を付けてお過ごしください!
さて、今回ご紹介するのは、1999年に発売されたコニカが開発したレンジファインダーカメラ/Hexar RF用標準レンズのKonica M-Hexanon 50㎜ F2です。記憶しているのは、1999年ごろは空前のクラシックカメラブームで、各社いろいろな手の込んだカメラ、レンズを発売していました。コニカからはMマウントのHexar RFが発売され、交換レンズM-Hexanonが何種類か発売されていました。このうちの標準レンズがM-Hexanon50/2です。
このレンズの開発にかかるテクノロジーレポート(リンクご参照)を拝見しましたが、当時の技術者の皆さんのこのレンズにかける意気込みが伝わってくるレポートになっています。絞り開放からコントラストの高い描写で、画面周辺の描写は、非点収差が小さく画面全域で素直に表現され、色収差も良好に補正され、色の滲みは殆どなく無限から至近距離の全域において、良好な描写を実現、とあります。上はRicoh GXR+A12モジュールにM-Hexanon 50/2を装着したところです。コンパクトなGXRに実によくマッチします。金属鏡筒の質感も素晴らしく、上記のテクノロジーレポートから引用すると、シングルヘリコイドで繰出し精度の良い鏡筒構造で、また、コンパクトなレンズながら部品配置を工夫し、絞りは円形に近い10枚羽根です。
コニカは、2003年にはミノルタと経営統合し、この際に事実上Hexarシリーズは販売が終了したといわれています。その後、デジタルカメラ事業は、Sonyに譲渡されましたが、レンジファインダーカメラ事業は、Sonyに引き継がれておらず、消滅の憂き目にあっています。私が愛用するペンタックス製品も、オーナーが二転し、親会社の業績もよくない現在では風前の灯のあり様。会社はともかく、いい商品は世に残るので、文化財として大切に使いたいと思います。
遠景の撮影テスト結果です。作例の絞りは上からf2、f4、f8です。(Ricoh GXR A12モジュール、ISO200、AWB、スタンダード、シャッタスピードは上から1/4000、1/1600、1/320)
f2からクリアでコントラストの高い描写です。細い線には若干滲みがあり、柔らかいイメージになっています。一方、色調には偏りなく、発色はニュートラルだと思います。GXR A12モジュールはAPS-Cサイズなので75㎜相当の画角ですが、ごくわずかに周辺光量の低下を感じます。でも、f2から十分使えるレベルです。f4に絞ると、線の太さも締まり、光量低下も解消します。f8では、線もピシッとしまり、さすが最新のレンズだけあり完璧な描写になります。クリアでコントラストの高い描写、申し分ありません。
次に最短距離の70cm近辺を撮りました。上からf2、f4、f8です。(Ricoh GXR A12モジュール、ISO200、AWB、スタンダード、シャッタスピードは上から1/800、1/320、1/60)
f2で撮影した絵は、かなり線が太く柔らかい描写になっています。ホワイトバランスはオートにしていますが、少々青みが強い発色になりました。ボケは、背景、アウトフォーカスになっている手すり部分も柔らかく、自然で美しいです。f4では、線は細くなり、シャープさは向上します。背景のボケは小さくなるものの、硬さはなく自然できれいです。色調は、青みがまだ少し残っています。f8まで絞ると、線は更に締まり、合焦範囲が広くなることもあり、しっかりとした描写になります。また、色調もニュートラルになり、いい感じです。
さすがに新しいレンズだけあり、素晴らしい描写だと思いました。遠景、近景とも気になるところはなく、質感も素晴らしいレンズです。惜しいのは、このレンズを継承している会社がないこと。文化財として、大切にしていきたいと思います。