今回も当ブログをご覧になっていただきありがとうございます。今回ご紹介するのは、キャノンのレンジファインダー用大口径中望遠レンズCanon 100mm F2です。レンジマウント用のレンズとしては、比較的大柄です。レンズは4群6枚、フィルター径は58mm、絞り羽根は13枚と凝った造りで、515gの重さです。1959年に発売された時の定価は33,000円でした。ちょっと意外なことに、L50/1.2の価格よりもずっと安かったようですね。
このレンズも、Canon 7と一緒に実家の押し入れの中に長年しまい込まれていました。発見した時には、革製のケースの中にしっかり入っており、あちゃーという感じで前玉に大きいカビとクモリが発生していました。ケースの中での保存、本当にレンズにはよくないですよね。。先日○東カメラサービスで清掃とOHをしていただきました。が、当然ですが、カビの跡はしっかり残り、曇りも全部はきれいになりませんでしたが、撮影に使えるレベルまで清掃していただきました。レンズを研磨するという方法もあるそうですが、前玉ではコントラストが低くなるので不適ということでした。
キャノンのLマウントレンズは、初期のタイプではピントリングはシルバーメッキの金属ローレットでしたが、途中からブラックペイントに変更され、デザインとしては1970年代のFLマウントシリーズまで引き継がれていったようです。LレンズのL100/2は、その後、FL、FDレンズには引き継がれず、しばらくたって80年にNewFD100/2として復活しました。100mmクラスのレンズでは、大口径よりもコンパクトさゆうせんだったのでしょうか。
カメラに装着すると望遠レンズらしい姿になります。Canon 7は、焦点距離によりブライトフレームを切り替えるようになっています。100mm/85mmと一緒になっていますが、ちょっと枠が小さいので構図をしっかり合わせるのは難儀ですね。またレンズの先端に絞りリングがあるのですが、レンズがそこそこ大きいので、絞りリング操作し、そのあとピントリングを操作するのはしっくりきません。ピントを合わせてから絞りリングを回すとピントロングがどうしても回ってしまうんです。慣れの問題でしょうか。。
試写はいつものリコーGXR A12モジュールで撮影しましたが、ISO感度200より下にはできないことと、シャッター最速1/4000までなので、f2.8からに段階的に見たいと思います。上段がf2.8、中段:f5.6、下段f11です。(共通:Ricoh GXR A12モジュール、ISO200、上段:1/4000、中段:1/1000、下段:1/250)
f2.8では、画面全体がふわっと明るくなり、コントラストが低くなっています。線もかなり柔らかく太めです。色調は、若干青みが強く感じられます。f5.6に絞ると、コントラストががぜんよくなり、色調の偏りもなくなり、線もピシッとしたシャープな描写になります。ここまで絞ればOKですね。f11まで絞ってもf5.6から大きく改善される感じはありません。次に近景を撮ってみました。上段からf2、f4、f8です。(共通:Ricoh GXR A12モジュール、ISO200、AWB、上段から1/2000、1/500、1/125)
f2の画像はかなり柔らかめで、線も太くコントラストが低めです。ぼやっとした絵になりますが、被写界深度が非常に浅いながらしっかりしているので、背景全景から合焦部分が浮き上がった印象の画像になります。色調は少し青色寄りになります。ボケは、前後とも非常に大きくきれいです。f4に絞ると、コントラストはかなり改善し、シャープネスは改善されます。柔らかさはまだ残っているものの、しっかりした描写になり、これはいけますね。色調は、まだ若干青みが強く感じられます。f8まで絞ると、画像がかなりしっかりします。シャープネス、クリアネスともピッとして素晴らしい。ボケはさすがに硬くなりますが、色調はニュートラルになります。
還暦レンズ同志比較してもあまり意味ないかもしれませんが、L100/3.5IIとL100/2の比較では、L100/3.5IIは開放では周辺光量不足があり、f5.6以上に絞らないと画像もしゃんとしない感じで、できればf8まで絞りたいところですが、L100/2はf5.6に絞れば今でもデジタルで実用可能なレベルになります。明るいレンズだけに余裕が感じられるというのが私の感想です。リコーGXRとこのレンズの組み合わせでゆっくり街歩きを楽しんでみたいですね。