坂の上の雲 ハ | WriteBeardのブログ

WriteBeardのブログ

ブログの説明を入力します。

坂の上の雲 ハ
{1754E473-D0B6-4E9A-87FF-00F23CF7A803:01}


敵艦見ゆ!

対馬沖を航行中の五月27日未明

彷徨っていた信濃丸はバルチック艦隊の真っ只中にいることを知ったのである

陽も白むと

三本マストに二本煙突

真っ黒の船体に黄色い煙突

煙は真っ黒である

何故なら、イギリスの嫌がらせがあり、安物の石炭しか補給してないからだ

日本はイギリス製の無煙炭だ

バルチック艦隊が太平洋周りで来るか対馬周りで来るか

敵艦隊見ゆ、の打電を受け

日本艦隊は小躍りした

東郷にしてみれば、疑いなく対馬周り

何故なら、北海周りは座礁の危険があるからだ

旗艦三笠の秋山真之は大本営に打電する

「敵艦見ゆとの警報に接し、総合艦隊は直ちに出動、之を撃滅せんとす」

まて、以下を入れろ

「本日天気晴朗なれども浪高し」

撃滅、一隻たりとも残せば、ウラジオストクに逃げ込まれ、今後日本海上を撹乱する

撃滅とは、寡黙な東郷が、明治天皇に問われ、バルチック艦隊現れれば撃滅すると誓った言葉である

天気晴朗、かつて上村艦隊が濃霧でウラジオ艦隊を逃したが、その心配はない

浪高し、敵味方の艦隊が波で動揺するとき、射撃訓練に勝る日本に有利である、また鉄板の薄い吃水以下を狙えると言う意味が含まれている

午後一時五十五分、Z旗が挙がる

「皇国の興廃、此の一戦に在り」

戦闘開始である

東郷は艦橋を動かず、迫り来るバルチック艦隊を見つめた

この海戦において日本が敗れた場合、満州の日本陸軍が孤立し全滅するであろう

当然、日本は降伏する

最小限、対馬と佐世保は租借地になり、北海道と千島列島はロシア領になるであろう

満州はロシアに含まれ、李氏朝鮮もロシアの属邦になり、馬山港、元山港、釜山港も租借地になり、仁川付近にロシア総督府が出現したであろう

さらに、ユダヤ人を大虐殺したように、猿どもを抹消していたかもしれない

黄色人種は猿と見做されていた

アジア人皆殺しである

ロシア皇帝ならやりかねない



戦闘に戻る

距離八千メートルに近ずいたとき、東郷の右手が高くあがり、左へ向かって半円を描いた

取り舵一杯!

艦首は軋みながら左へ転じた

すでに、バルチック艦隊の射程に入っている

敵前回頭だ

次の戦艦も同じ地点で回頭する

145度左に曲がり、バルチック艦隊と並走の形になる

この回頭のロシアの感想は三通り

・東郷、狂せり

・東郷は例によってアルファ運動をやった

・この運動が問いかけるなぞはなんだろう

午後二時八分、敵艦隊が火蓋を切り、射ちまくった

飛来した敵弾は300、内40ほど三笠は浴びた

ロシアは風下で飛沫を浴びながらの射撃だ

三笠の右舷にバルチック艦隊40隻が広がる

二時十分、距離六千五百、日本艦隊右舷の砲が一斉に火を噴く

目標は、旗艦スワロフと戦艦オスラービアだ

戦艦オスラービアに火災が起こったのはわずか五分、オスラービア傾く

スワロフは燃えていた

午後三時十分、オスラービアは艦尾を高くあげ海面に吸い込まれた

旗艦スワロフが自由を失うまでに三十分とかからなかった

スワロフも煙突が吹っ飛び、左に傾いた

司令塔も打ち砕かれ、ロ将軍も血だらけになった

その5、6分後、再び司令塔に当たった12インチ砲弾はあらゆる隙間から鉄片を噴射した

ロ将軍は足をやられて倒れた

水線部にも大穴が開き、艦が左へ傾いた

スワロフがふらふらと北へ回頭したのを見、東郷は敵艦隊ウラジオに逃げると判断し、左八点一斉回頭の旗を挙げる

実情はスワロフは単に舵機が破壊されたために起こった回頭であった

が、第二艦隊の旗艦出雲の参謀と司令長官は、あれは舵の故障だと見抜いた

第一戦隊の殿艦、最後尾の戦艦、日進の信号を受け、第二艦隊の出雲が旗を掲げる

信号旗は下ろした時にその命令が開始される

佐藤参謀、信号を下ろしていいですか

いかん!下ろすな!

第二艦隊は、命令を留保する

運動旗を一旒上げておけ!

俺についてこい、の意味である