人間の女はゲージの錠をスライドさせ、扉を開けた。
「デッドフルストン、おいで~」
だまれ! 変な名前で呼ぶな!
手を出す人間の女の指を噛み、ゲージから飛び出た。
自分はそんな名前じゃない。前世の自分は…!
……あれ? 思い出せない。
「どうしたんだろう。機嫌悪いな~」
そう言いながら人間の女は糞尿の散らばったゲージ内を放ったらかしにして、携帯を触り始めた。
そんな姿を見て、自分は強い嫌悪感を覚える。
自分は人間だったはずだ。
人間が人間に飼われるなど、プライドが許さない。しかもこんな人間にだ。
変な名前をつけ、怪我するレベルのステップの配置、ゲージ内の掃除もそっちのけ、そしてこの乱雑に散らかった部屋!
自己管理の出来ない人間に自分を飼う資格なんてない。
記憶はないが自分はプライドが高いらしい。