湿原や川面を覆っていた雪や氷が解け始め、とまではまだまだいかない連日気紛れな気候だが、
暦の上ではもう歴とした春になった。

先週のいつだったか。
玄関脇から小振りな黒尽くめが颯爽と飛び出したが、その日は厚めなコートと股引きが欠かせない冷え込みようだった。
冬眠から早々と目覚めてしまった彼は果たして本当に大丈夫だったのだろうか。

社会情勢などあまりに大きな問題になるとただぼんやりと眺めてしまうが、こう簡単に手が届きそうなかわいいサイズの問題に対しては心配性の虫が顔を出す。
春の訪れももう何年目かと思えば感慨深くもなるが、あの人のオシャレに関してはどうも落ち着かぬ時間を過ごしているのである。



半音という、いわゆる隣り合う音が大好きな彼の事だから、実はオシャレというものを履き違えて、“エシャレ”にでもなってしまっているのではなかろうかと考えたりもする。
ギターフレーズや思考は婉曲的なくせに、オシャレに対しては直接的なのねと
度々思う事もある。
昔は全身黒で占めていた服装も、髪を金髪に変えた途端、
蛹から羽化した蝶々の如き様相で、
ファンタスティックなヌクメンを主張するようになった彼に、
一体何者なんだろうと思った事もあった。

ご覧になった方もおられる事かと思いますが、先日のツイキャスでこれ見よがしに謎のニットを着ていた彼に、
“おじいちゃんのお下がりですか”というコメントがありました。
僕の思考とひとつ異なる部分があるとするならば、それはおばあちゃんという違いだけだ。

僕や他のメンバーにとっては、恐らく金髪というもので十分事足りてるのではないかと思うわけであります。
それに負けじと日に日に全身インパクト勝負に出ようとしている彼に教えてあげたい。
裏地に龍の刺繍が入った学ランを愛する者がいたように、
美人画の裾が風に煽られて、密やかなる素足が顔を出すチラリズムの美学があったように、
隠れた部分に気を配ってこそ、日本人としての粋、日本人としての本当のオシャレなのではないだろうかと。

別にあの黒尽くめに昔の彼を重ねたわけではない。
それはあまりにも彼に対して失礼だし、
黒尽くめに対しても失礼だ。
彼が目覚めてしまった、
それが実は、世間体にオシャレというものとは異なるベクトルに向いているのであるならば、
僕はメンバーのひとりとして、ただただ大丈夫かと思うのである。



まぁ、それもこれも本音を言うならば、
愛情の裏返しといったところで、
流れる月日、苦楽を共にした、
このバンドが大好きだからなのだが。





■ 先日からいよいよ始まった先行試聴会の様子など、バンドの状況についてはスペシャモバイル アーティストコラムの方でもアップしておりますよっと。


■ 3rd Full Album "THE DARK BLACK GROOVE"



〈収録曲〉
1. Orpheus
2. Just Give Me The Rock 'N' Roll Music
3. King With The Bass
4. Teenage Riot
5. Walking In A Cloudy
6. Night Song
7. Quandata
8. Speed It Up
9. Zero
10. Hopes Bright
11. Gifted

2015年3月4日発売 / ¥2,800(tax in)

■ One Man Tour 2015 "DARK EXHIBITION"
4/4(土) 札幌PENNY LANE24 open 17:00/start 18:00
4/10(金) なんばHatch open 18:00 / start 19:00
4/17(金) 新木場STUDIO COAST open 17:30 / start 18:30

チケット一般発売:2月28日(土) 10:00