第5回 カロリス(カロリーリストリクション)仮説
日本には、昔から腹8分目という諺があります。
実は、これが日本人が世界一の平均寿命になった
原因かもしれません。
1935年米国コーネル大学のクライヴ・マッケイ博士は、
「実験用マウスの摂取カロリーを65%に制限すると、
平均寿命が2倍延びる」ことを発見しました。
当時はメカニズムはまったく分かりませんでしたが、
1988年米国コロラド大学トーマス・ジョンソン博士は、
「線虫のある遺伝子を傷付けると、老化が抑えられて
長生きする」と発表し、その遺伝子を「age-1」と名付けました。
つづいて1993年に、カリフォルニア大学シンシア・ケニヨン博士は、
「線虫の「daf-2」遺伝子を傷つけ、
さらに生殖を司る細胞を傷付けると寿命が8倍に延びた」
と報告しています。人間だと800歳まで生きる事になります。
さらに2000年、マサチューセッツ工科大学の
レオナルド・ギャランテ博士は、
酵母菌の遺伝子「サーチュインSirtuin」を活性化すると
寿命が延びると発表しました。長寿遺伝子の発見です。
この長寿遺伝子は、サルや人間にも存在が確認されています。
面白い事に、カロリー制限すると「サーチュイン」がスイッチオン
されて長生きする事が解りました。
飢餓状態をつくると、生命の危険を察知して長寿遺伝子が
生き延びようと働くのです。
偶然にも、日本古来のカロリス(腹8分めの習慣)が、
世界一の長生きに寄与していることを証明しました。