初回はこれしかないと思ってつけたタイトルですけど、これじゃあ汎用性に欠けるということに、この記事のタイトルをつけるときに思い至りました。とりあえず読み終わるまではこのままでいこうと思います……。
前回は台湾で裁判を始める……というところまで読んでいましたが、今日はその続きから上告、再審、再再審の場面まで進みました。
結論から言えば、初審で有罪、再審で無罪、それを不服とした検察側が上告したという流れです。
前回は触れていませんでしたが、星製薬はモルヒネや阿片を中心に扱っていて、星をつぶすために阿片法を無理矢理適用させようという目論見が検察側にはあります。
とはいっても、星自身これには十二分な注意を払っていて、東京の震災による火事がなければ、正式な手続きで進められたことを示す書類を提示することもできる状態でした。
当時としてはどうでもいい書類だけの損失で済んだことを喜んでいたのが、こうまで面倒な事態を引き起こす種になるとは想像しろというのが無理な話です。万事を慎重に運んでも必ず足元を掬われるということを如実に物語っていると思わざるをえません。
裁判が進行している間も官憲の妨害は続きます。銀行への圧力、新聞の誤報、内密に行われるべき捜索の公表化……。やがては民間からも甘言を用いて騙し取ろうとする者も現れ、読んでいるだけでは想像すらできない事態に巻き込まれます。
その渦中にあって、アメリカ留学時代からの友人でありパートナーである安楽栄治の死去が知らされる。無罪を勝ち取った裁判からの帰りの船で報せを受けることになったときの星の気持ちを思うと、どれほどやりきれなかったろうかと胸が痛くなった。
そして星製薬の社員も星の身を切るほどの働きを知り、お金を掻き集めて原稿を用意し、新聞社へ持ち込み社会に対して訴えを投げかける。
それさえもその日の夕刊の誤報(誤報という言葉さえ生ぬるい)であまり効果をあげなかった。
読み進めていくたびに気が重くなってくる話ですが、残りもあとわずかなので頑張って読み切ろうと思います。
ではまた次回まで、良い旅を。