車窓から、からりと晴れた
一片の雲もない夏空が見える
時間を持て余した小学生の夏休み
じりじりと太陽に焦がされそうになりながら
白塗りの壁の明るさやその対極にある影を
ぼんやりと眺めていたことを思い出す
ゆらゆらと姿を見せ始める陽炎
やかましい蝉の声、田んぼから匂う緑の風
地面からの熱気、額に浮かぶ汗
陽の光の中でボクは
少しずつその場に縫い付けられていく
音は次第に響きを無くし
時間の流れも意味をなさなくなる
音のない世界にはボクしかいなくて
触れそうなくらい濃密な空気の中で
頭の中はクリアに、どこか不自然な感覚に支配されていく
最初から自分もこの風景の一部だったんじゃないか
そんな錯覚に襲われて見上げた空が
自分が知っているよりも高く、青く、深くて
目を奪われた
拡散していく意識の中で
ボクは世界に溶けていくのを感じる