5年越しの夢が叶う日。  
出発の朝は、雲ひとつない青空が広がっていた。  
気持ちは、ドキドキとワクワクでいっぱい──。

 

「もう家出たよ」  



そんな連絡から、この旅は始まった。  
けれど途中で
「渋滞してるから、少し遅れるかも」
というメッセージ。  
到着を待つ時間も、胸の高鳴りはおさまらなかった。




「こっちのほうに向かって歩いてきて」  

 
そう言われ、真夏の太陽の下、
キャリーケースを引いて歩く。  
額から汗が伝う頃、車が近づき、彼が笑顔で呼んだ。  



「ゆー!」



おはようの声を交わしたとき、私はもう汗でぐったり。  
でも、その笑顔だけで、暑さも少し和らいだ。




彼はわざわざ1時間かけて、
家の近くまで迎えに来てくれた。  
そして出発してすぐに、
私たちは現実を知ることになる
──大渋滞だ。


 
本来なら3時間で着くはずが、5時間コースに。  
いつもなら1時間もかからないサービスエリアまで、
なんと2時間以上。  
その長さに、私は彼の疲れを心配しながらも、  
「この時間も、きっと思い出になる」と思っていた。