なんだか今日は、いつもより疲れていた。  
別に何かあったわけじゃない。  
でも、言葉にできないもやもやを  
ひとりでずっと抱えていた。



そんな時、彼と会う約束があって──  
私はできるだけ普通に振る舞っていたつもりだった。  
笑って、うなずいて、彼の話をちゃんと聞いて。




だけど彼は、すぐに気づいた。




「……今日、ちょっと疲れてるでしょ」  
「無理しなくていいからね」




驚いた。私は何も言ってないのに。  
まるで、心の中をそのまま覗かれたみたいだった。




私が言葉にできなかったことを、  
彼は言葉にしてくれた。  
それだけで、ふっと肩の力が抜けて──  
涙が出そうになった。




何気ないやりとりの中に、  
ちゃんと“私を見てくれている”人がいるって、  
こんなにも安心できるものなんだなって思った。