彼と会えたのは、少し前の、  
なぜかぽっかり予定が空いた“あの日曜日”。


本来、彼にとって日曜は絶対に無理な日。  
なのに、前夜のLINEには  
「久しぶりに会えるよ」の文字があった。 


信じられなかった。  
でも、嬉しくて、何度もそのメッセージを開いては閉じた。


待ち合わせ場所に現れた彼は、  
仕事モードとは少し違う、柔らかい表情で。  
その雰囲気だけで、胸がぎゅっとなった。


車に乗って、ほんの少しだけ走って──  
いつものホテルの前に着いたときには、  
どちらからともなく、自然と足が動いていた。


 

ドアを閉めた瞬間、  
ずっと押し込めていた“寂しさ”が一気に溢れそうになった。


「……会いたかった」  
その言葉を言う前に、  
彼がそっと頬に触れて、黙ってキスをくれた。



そのやさしさに、  
すべてがほどけていった。


触れ合うたび、  
心の奥にあった“我慢”が少しずつ溶けていく。


彼の吐息も、手のひらも、唇の温度も──  
「待ってた」って気持ちが、全部ににじんでいて  
私はただ、何度も応えるように抱きついた。

 

そのあとのシャワー、  
バスタオルを巻いたまま笑い合った数分間も、  
肌よりも“心”が寄り添えた気がした。


だけど、時間は残酷で。


「そろそろ戻らなきゃ」  
そう言った彼の声に、魔法がほどけていくのを感じた。

 

ほんの数時間。  
でも、あの温度は、何週間分にも感じた。


日曜日に会えた、奇跡みたいな時間。  
たぶん私は、  
“あの日”の続きを、まだどこかで求めてる。