ふいに思い出すことがある。


特別な言葉じゃなくて、
ただ、あの人が笑いながら言った何気ない一言。


それだけで、
胸がじんわり温かくなるような──
そんな記憶。


3週間も会えていないと、
不安になる瞬間がないわけじゃない。


でも、
それを超えてくるのは、
過去の“楽しかった時間”たちだった。


車で海沿いを走った日のこと。
コンビニで買ったアイスを半分こしたこと。
すれ違った犬を一緒にかわいがったこと。


どれもこれも、普通の思い出。


でも私には、
どんな言葉よりも、
心を繋ぎとめてくれる記憶たち。


次に会えたら、
何を話そう。


新しい思い出をひとつでも多く作りたくて、
いつも、心の中で台詞を反芻してる。


「ねぇ、あの時さ……」
って、そんなふうに
さりげなく笑いながら言えるように。


会えない時間に試されるのは、
“好き”の強さじゃない。


“信じること”の、深さだ。


私たちは、
何もない時間の中にも、
ちゃんと愛を見つけている。