3週間ぶりの“声”に、涙がにじみそうになった夜


もう3週間、会っていない。


彼の体調がすぐれず、
そのまま海外出張へ行ってしまって──
次に会える予定も、まだ決まっていない。



少し寂しいけど、それも仕方ないことだと
自分に言い聞かせる日々だった。



そんなある晩、
珍しく彼から電話がかかってきた。



「……ごめん、声だけでも聞きたくて」



その一言を聞いた瞬間、
胸の奥がぎゅっと締めつけられて、
思わず、涙がにじみそうになった。



ほんの5分か10分くらいの、短い会話。
たわいもないやり取りだったけど、
その“声”の温度だけで、心が満たされていく。
 


会えない時間が続いても、
こうして思い出してくれる瞬間がある。
私は、それだけで十分だと思っていた──
のに。



「……会いたいね」
その言葉を、彼が口にしたとき。



我慢していた寂しさが、
堰を切ったようにあふれてきた。



ああ、私やっぱり、
こんなふうに“愛されたい”って、思ってるんだ。



不安もある。
会えない日が続くたび、
少しずつ、自信を失いそうになる。



でも、
彼の“声”が、私をここに引き戻してくれる。



たとえ何があっても、
また笑って会える日を信じていたい。



──そんな夜だった。