洗濯物を干してるとき。
スーパーで値札を見てるとき。
誰かと他愛ない話をしてるとき。
日常の、何でもない瞬間に、
急に彼のことを思い出してしまう。
たとえば、あの目。
普段はやわらかいのに、
スイッチが入ったときだけ見せる、
あの鋭くて熱っぽい目。
耳元で「我慢して」ってささやかれた声とか、
私の腰を強く引き寄せるあの手とか。
思い出したくて思い出してるわけじゃないのに、
気づいたら、頭の中に浮かんできてる。
会ってない日が続くと、
なんだか身体まで、
彼の感触を探してるような気がする。
肌にふれられた記憶って、
こんなに残るものだったんだって、思い知らされる。
ただの金曜日の夜なのに、
なんでこんなに、疼いてるんだろう。
いけないってわかってるのに、
もう、思い出すだけで、どうにかなりそうになる。
しばらく会えてないのに、
身体の奥では、ちゃんと彼が息づいてる気がする。
……ほんと、ずるい人。