彼と会った帰り道。  
ひとりで歩く道すがら、  
なんだか心がそわそわしてた。




嬉しいはずなのに、どこか不安で、  
ずっとスマホを握りしめてた。





「またね」って言葉、
どこまで本音だったのかなって。





ベッドに入っても、目が冴えて眠れない。  
頭の中で、さっきの彼の顔や言葉がぐるぐるする。

 



──ねぇ、本当は寂しかったでしょ?





そう聞かれたとき、うまく言葉が出なかった。





会えただけで嬉しいのに、  
会えばもっと欲しくなってしまう。  
声も、体温も、もっと近くに感じていたくなる。


 

あのとき、彼の指が  
私の髪を撫でた感触がまだ残ってる。





ふと、思い出す。  
信号待ちのときに、彼の手が
私の太ももにふれてきたあの瞬間。  
軽いスキンシップみたいなふりをして、  
でも、確実に熱を持った触れ方だった。





それ以上は何もなかったけれど、  
その“何もなかったこと”が、余計に眠れなくした。





今、彼は眠ってるのかな。  
それとも、私のこと考えてくれてる?





深夜のスマホの通知音に、何度も心臓が跳ねる。




もう会いたい。もう少しだけ、そばにいたい。


 

そんなことばかり考えてる夜は、  
どうしようもなく、愛しいし、
どうしようもなく、苦しい。




このまま12時間も経たずにまた朝が来るなんて、  
私の中だけ、まだ昨日が終わってないみたいだった。