Oさんは深く息を吸い込みそっと吐き出したのが分かった。


その時私は自分自身が何を思っていたのかは思い出せない。


Oさんの顔を見上げると、また目が合った。



優しい優しいいつもの目。





私は涙が溢れそうなの。必死にこらえていました。



そしてOさんが一言。



「この歳になって、こんなにせつない気持ちになるとは思っていませんでした。」





私とOさんはそのまま言葉を交わすことなく、


触れるわけでもなく抱き合うでもなく


ただただ、沈黙の時間が過ぎていった。


その先に進もうと思えばできたかもしれない。


でもお互い色々考えてのこれが答え。


何かお互い言ったわけじゃない。


お互いがお互いの思いを言わないでも理解するって


こういうことなんだなって、、、



いい歳してこんな純愛みたいなって

笑われるかもしれない。

この話をすると本当はキスぐらいはしたでしょ?

と言われることもあるし、

友人達からはもったいない。とか

こんなこと滅多にないのにと言われるけど

後悔はしてません。

Oさんとは前に進まなかったけど

私自身はOさんのおかげで確実に前に進むことができました。



ずっと鳥かごの中にいたのに

やっと羽ばたくことができて、

女として、一人の人間としてちゃんとまた生きたいって

思えるようになった。



ここからが本当のスタート。

私の新たな人生のスタートがはじまるんだよね。