ア゛ア゛ー



痛みと共に、この声にビックリ。


カラスの威嚇のような音は


私の声帯から出ていた。




朝一番のトイレタイム。




放射線治療の最終コーナー


トイレの小がしみるようになり1週間


数日前から出すだけで痛くなり


ついに、激痛。



柔らかお尻拭きで抑えると


血が付いた😂


部位は、赤を通り越して白い。


軟膏をベッタリ塗って努めて息を深く。



放射線治療、年内最終日。



人の居ない病院内を治療室まで


杖代わりにバギーを借りる。


足の付け根の皮が全剥けしてから


歩くのに普段の3倍くらい時間がかかる。




治療前は、軟膏を落とさなきゃならない。


放射線治療の妨げになるから。



放射線科の看護師さんが問診に来て


私はカラス事件の話をする。


「明るく話されてるけど、痛いですよね」


「結構痛いんです」


医師が何か策がないかと来てくれた。


おばあちゃんのような速度で


放射線技師の皆さんに助けてもらいながら


ようやく治療台に登ると


医師が、ちょっと見せてもらえますかと来た。


珍しいなぁ。


私は、今まで一度も治療室のなかで


医師を見かけたことがない。



同意して部位が見えるように体制をずらした。


「あぁ・・・これは痛いね」


「はい」


私より、医師の方が痛そうな顔をしていた。




治療室からゆっくり出ると


先程の医師が来て痛み止めの強いものを


試してみてはどうかと話してくれた。


お守りに持っているけど、使ったことがない。


「試してみます」


あんまり労ってもらって


このまま見送られそうだったから


軟膏を塗ってきますと頭を下げた。


「たくさん塗ってきてください」


優しさがこもる目と声で医師が言う。


「はい」




ちかカラスは、涙が出そうになりながら


トイレで軟膏を塗った。



皮剥け、赤剥け、触れるだけで痛い。


でも、ハートは暖かい。


どこにいても、愛は巡っている。