生かされなかった警告 2011年03月25日20:18
24日午前中、SPEEDI(*註1)のシミュレーション結果が公表されました。
http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf
今月12日~24日までの、内部被曝臓器等価線量(甲状腺)の積算量が示されています。もっとも影響が少ないとされる地域でも100mSv(対象年齢:1歳児)を超えており、屋内退避指示地域の外側にも高濃度汚染が拡大しているというデータが示されています。この100mSvという数字の深刻さは、例えばフランスやベルギーの原発周辺地域においては10mSvが安定ヨウ素剤服用の目安となっていることなどを考え併せると、いっそう明確になるでしょう。
従来、時間ごとに計測された線量を、「レントゲン○回分」などと単純比較して安全と報じてきたマスコミや専門家たちは、この数値をどう受け止めるのでしょうか(*註2)。
唯一被曝の予防となる安定ヨウ素剤は、多くの地域で配布すらされませんでした。福島県には県外から多くのヨウ素剤が送り込まれ、備蓄量は充分だったにも関わらず、まったく役に立たなかったことになります。三春町のように、一度配布したヨウ素剤を、県の指示により回収してしまった自治体もあります。
安定ヨウ素は、被曝した後に服用しても、ほとんど効果はありません。
事前服用なら24時間前に服用しても70%の効果がありますが、被爆後6時間を経過すると、服用の効果はゼロになります。
この欄でも、震災翌日(12日)の日記をはじめ、何度かヨウ素のことを書いてきました。各方面から、ヨウ素剤配布の必要性が指摘されていたにもかかわらず、「いたずらに不安を煽る」との理由で見送られてしまいました。
安定ヨウ素剤の「副作用」ばかりを喧伝し、入手できない人々が市販のヨウ素含有のうがい薬や咽頭殺菌剤を買い求めることを揶揄し続けてきたマスコミや専門家。彼らは、このシミュレーション結果に口をつぐんだまま、今日も「とりあえず安全」を繰り返しています。
昨夜は「ヨウ素131は半減期が8日だから大丈夫、セシウム137は特定臓器に偏らないから大丈夫」と放射線医科学の専門家が太鼓判を押していました。この人にとって、危険な放射性物質などひとつもないのではないか、と絶句します。
今日は、飯舘村で行われた住民説明会で、「今のレベルなら手を洗えば大丈夫、野菜も大丈夫」と笑顔で説明する専門家の姿をテレビで見ました。
汚染された水道水は、「ミネラルウォーターで割れば数値が下がる」と述べた専門家もいました。以前、同じような理屈で、低レベル放射性廃棄物を一般ゴミに混ぜて廃棄している事実が発覚した事件がありました。こういう専門家が、「助言」しているのでしょう。
大丈夫、大丈夫…これらのあまりに無責任な言動を、すべて映像記録に残しておきたいと思ってしまうのは、私だけでしょうか。
政府、原子力安全・保安院、電力各社、そして原子力産業によって職を得てきた「専門家」たちは、決して先の予測を公表しません。常に結果は事後に示され、警告は生かされてきませんでした。
一番弱い立場の人に判断基準を合わせること、もっとも悲観的な予測に基づいて最善の選択をすること、そんな当たり前のことがまかり通らないまま、震災後2週間が過ぎていきます。
(*註1)緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information)の略称。(財)原子力安全技術センターの中央情報処理計算機を中心に構成された、放射性物質の空気中濃度、被曝線量等を地勢や気象データを考慮し計算予測するシステム、とされています。本来はシミュレーションにより得られた予測をもとに、被害を極小化するための防災システムですが、実際にはその名を裏切り「迅速」でも「予測」でもありませんでした。
(*註2)これらの数値の単純比較は、何重もの意味で不誠実です。①瞬間的な数値だけをとりあげることによって、「積算量」を無視している点。②健康な成人の基準値だけをとりあげることに意図的よって、「子ども」「ハイリスク群」などの影響を軽視している点。③外部被曝と内部被曝を意図的に混同し、線量を平均化することによって、内部被曝による局所的・集中的な被曝の影響を軽視している点。④複数の試算や疫学調査等のうち、最も楽観的な数値や原子力推進勢力(IAEAなど)の数値を採用していること。⑤線量計算における計算式や変数を公開せず、「安全」という結論だけを喧伝すること。
……………………………
Yukon takahashiさんのmixi転載です。
24日午前中、SPEEDI(*註1)のシミュレーション結果が公表されました。
http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf
今月12日~24日までの、内部被曝臓器等価線量(甲状腺)の積算量が示されています。もっとも影響が少ないとされる地域でも100mSv(対象年齢:1歳児)を超えており、屋内退避指示地域の外側にも高濃度汚染が拡大しているというデータが示されています。この100mSvという数字の深刻さは、例えばフランスやベルギーの原発周辺地域においては10mSvが安定ヨウ素剤服用の目安となっていることなどを考え併せると、いっそう明確になるでしょう。
従来、時間ごとに計測された線量を、「レントゲン○回分」などと単純比較して安全と報じてきたマスコミや専門家たちは、この数値をどう受け止めるのでしょうか(*註2)。
唯一被曝の予防となる安定ヨウ素剤は、多くの地域で配布すらされませんでした。福島県には県外から多くのヨウ素剤が送り込まれ、備蓄量は充分だったにも関わらず、まったく役に立たなかったことになります。三春町のように、一度配布したヨウ素剤を、県の指示により回収してしまった自治体もあります。
安定ヨウ素は、被曝した後に服用しても、ほとんど効果はありません。
事前服用なら24時間前に服用しても70%の効果がありますが、被爆後6時間を経過すると、服用の効果はゼロになります。
この欄でも、震災翌日(12日)の日記をはじめ、何度かヨウ素のことを書いてきました。各方面から、ヨウ素剤配布の必要性が指摘されていたにもかかわらず、「いたずらに不安を煽る」との理由で見送られてしまいました。
安定ヨウ素剤の「副作用」ばかりを喧伝し、入手できない人々が市販のヨウ素含有のうがい薬や咽頭殺菌剤を買い求めることを揶揄し続けてきたマスコミや専門家。彼らは、このシミュレーション結果に口をつぐんだまま、今日も「とりあえず安全」を繰り返しています。
昨夜は「ヨウ素131は半減期が8日だから大丈夫、セシウム137は特定臓器に偏らないから大丈夫」と放射線医科学の専門家が太鼓判を押していました。この人にとって、危険な放射性物質などひとつもないのではないか、と絶句します。
今日は、飯舘村で行われた住民説明会で、「今のレベルなら手を洗えば大丈夫、野菜も大丈夫」と笑顔で説明する専門家の姿をテレビで見ました。
汚染された水道水は、「ミネラルウォーターで割れば数値が下がる」と述べた専門家もいました。以前、同じような理屈で、低レベル放射性廃棄物を一般ゴミに混ぜて廃棄している事実が発覚した事件がありました。こういう専門家が、「助言」しているのでしょう。
大丈夫、大丈夫…これらのあまりに無責任な言動を、すべて映像記録に残しておきたいと思ってしまうのは、私だけでしょうか。
政府、原子力安全・保安院、電力各社、そして原子力産業によって職を得てきた「専門家」たちは、決して先の予測を公表しません。常に結果は事後に示され、警告は生かされてきませんでした。
一番弱い立場の人に判断基準を合わせること、もっとも悲観的な予測に基づいて最善の選択をすること、そんな当たり前のことがまかり通らないまま、震災後2週間が過ぎていきます。
(*註1)緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information)の略称。(財)原子力安全技術センターの中央情報処理計算機を中心に構成された、放射性物質の空気中濃度、被曝線量等を地勢や気象データを考慮し計算予測するシステム、とされています。本来はシミュレーションにより得られた予測をもとに、被害を極小化するための防災システムですが、実際にはその名を裏切り「迅速」でも「予測」でもありませんでした。
(*註2)これらの数値の単純比較は、何重もの意味で不誠実です。①瞬間的な数値だけをとりあげることによって、「積算量」を無視している点。②健康な成人の基準値だけをとりあげることに意図的よって、「子ども」「ハイリスク群」などの影響を軽視している点。③外部被曝と内部被曝を意図的に混同し、線量を平均化することによって、内部被曝による局所的・集中的な被曝の影響を軽視している点。④複数の試算や疫学調査等のうち、最も楽観的な数値や原子力推進勢力(IAEAなど)の数値を採用していること。⑤線量計算における計算式や変数を公開せず、「安全」という結論だけを喧伝すること。
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Yukon takahashiさんのmixi転載です。