終焉に向かう原子力(リンク) 2011年05月04日20:12
これまで何度かご紹介させていただいている小出裕章さん(京都大学原子炉実験所)が、、4月29日に明治大学で行った講演の動画がアップされています。
今回の事故が何を意味するのか、とてもやさしい言葉でわかりやすく説明されています。また、今後私たちが、なにをどんなふうに選択していくべきかを考える上でも、とても示唆に富む講演内容です。
1時間20分以上ある長い映像ですが、とくに小さいお子さんをお持ちの方にはぜひご覧いただきたいと考え、ご紹介させていただきます。

2011.4.29 終焉に向かう原子力 小出裕章氏講演
http://www.vimeo.com/23141252

小出さんの言葉に触れるたびに感銘を受けるのは、その科学的知見のたしかさや分析の鋭さもさることながら、彼の人間観が至極まっとうであたたかい、という点です。一人の人間として、信頼できると思えるのです。

この間、多くの「専門家」の発言がメディアにとりあげられ、また「専門家」自身がブログ等を通じて情報発信しています。そのなかには、参考になる知見やデータも多く含まれます。しかし同時に、「専門家の陥穽」を見せつけられるような思いも、私はしばしば味わってきました。
迷える子羊のようなわれわれ素人に、答えを指し示し誘導しようとする人々。どちらを選んでも地獄のような選択肢を、自己責任の名のもとに突きつける人々。実験室でしか通用しないようなデータを、あたかも事実であるかのように強弁する人々。こういうことのために、専門的知見(しかもゴマカシや嘘の多い知見)をふりかざす行為は、本当に許しがたいと思います。

困難な現実を生きなければならない人々が少しでも生きやすくなること、苦しんでいる人々の心が少しでも救われること、最悪のケースにおびえる人々ができる限りリスクを回避できるようにすること… 専門的知見は、そういうことのために使われなくては嘘だろう、と思うのです。

講演の最後に、小出さんは、故・田尻宗昭さんの言葉を引用し、「絶望してはいません」と結ばれました。
田尻宗昭さんは、公務員の立場から、幾多の妨害にも屈することなく公害企業と闘い続けた、いわゆる「公害Gメン」。海上保安官時代には、猛毒の工場廃液を極秘裏に垂れ流す現場を抑えるため、自ら海にもぐって監視を続け、ついに摘発にこぎつけました(石原産業事件)。また、一貫して公害病に苦しむ人々の側に寄り添い、公害企業と闘う住民運動や労働運動とつながる努力を惜しまなかった方です。
小出さんもまた、田尻さんのような先達の歩みを引き継がれ、ご自身の生き方を選んでこられたのでしょう。

実感をこめて、私もここに引用させていただきます。
「社会を変えていくのは数ではない。一人です、二人です、三人です。」

………………………

yuko takahashiのmixi転載です




私たちの一灯未来(部分転載) 2011年04月29日14:35
以前にも一度この欄で触れた横田智史さんのブログについて、再度ご紹介したいと思います。

彼をはじめ、活動するスタッフの方々は、自らも被災しつつ自分たち自身の手で救援活動を行っています。
輸送を担う(有)日本軽貨物仙台は、自衛隊ですら入っていけない孤立した地区の避難所や自宅避難者のもとにも物資を届け、彼らの生の声を受け止め、いま必要なものをフィードバックしてくれています(しかも、まったくの無報酬で!)。
横田さんのブログでは、寄せられた物資をどこに届けたか、いま必要な物資は何か、などの生の情報を、リアルタイムで見ることができます。

私も継続的に救援物資を送らせていただいていますが、個人的な支援では物量的に限界があり、お気持ちのある方々にご協力いただきたいと思い、この欄でご紹介際せていただきます。
とくに、食料・飲料はもちろん、必要な救援物資情報のトップに挙げられている「長靴」は、瓦礫の撤去などの復旧・復興作業には欠かせないと思います。
被災地の天気を見るたび「ああ、また雨か…」と切ない気分になることも多いのですが、梅雨がくる前にこうした中長期的復旧・復興作業への備えをととのえることは、とても大切だと思います。


(以下、横田さんの最新のブログより一部転載)
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
私たちの一灯未来⑮

いつもお世話になっております。

本日もたくさんの救援物資をお送りいただきましてありがとうございます!!

愛知県豊田市ひらしば幼稚園ママの会 のみなさん、段ボールにたくさん!
ありがとうございます!!

『一人でも多くの方に「心の幸せ」と「安心できる生活」が訪れるようにみんなの祈りと思いを込めました』
と、ママ代表の新山さんのコメントも本当にうれしいです。

また、新山さん(広島県ご出身)からは、こんなメッセージもしてくれました。
「広島出身の女性は結婚差別を受けることもあった。でもね、広島の街を見て!
100年は草木も生えないと言われた広島だけど、自然豊かに人々を支え、みんな笑顔で暮らしてる。今から福島は言われなき差別や悲しみを背負うかもしれない、でも支える人は必ずいる!!」

ありがとうございます。
いただいた勇気と希望を胸に・・・がんばります!!

本日は、震災から49日。
今回の震災でお亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申しあげます。
生かされたわたしたちがみなさまが望む方向へと必ずや復興していきたいと思います!
ですので、ゆっくりお休みいただき、見守りくださいませ。


【最新の救援物資情報】

1.靴・長靴(男性26cm以上不足)[中古可]
2.食料品(レトルト)
3.サラダ油、パン粉、天ぷら粉
4.調味料(味噌・酢・だしの素・マヨネーズ)
5.紙皿・紙どんぶり・紙コップ・割りばしセット
6.ジャージ上下(男女大人子ども用 特にM~LL)[中古可]
7.ウィンドブレーカー上下(男女大人子ども用 特にM~LL)[中古可]
8.炭(普段、バーベキューなどで使用するようなもの)
9.水のいらないシャンプー
10.シャンプー・リンス
11.飲料(野菜ジュース・缶コーヒー・ポカリなど)
12.水(ケース)
13.レインコート・折りたたみ傘
14.玄関用スリッパ・サンダル(L、LL不足)
15.女性用下着(M~LL)・ブラジャー(サイズ不問)
16.タオルケット、布団セット[中古可]
17.帽子(夏用)[中古可]
18.枕
19.化粧品セット
20.リュックサック(大人用)[中古可]
21.指別れ靴下(4本指セット、1本ばら用・5本ばら用)
22.春物の衣類(子ども・大人用・・・サイズや種類の記載をお願い致します)
23.Tシャツ(大人用3L、4L、5L)
24.壁かけ時計[中古可]
25.目覚まし時計(かろうじて自宅にいる方は時計がなく感覚マヒ状態)[中古可]
26.反射式ストーブ[中古可]

「わたしたちにできること」
「わたしたちでできること」
「わたしたちはできるひと」

〒982-0014
宮城県仙台市太白区大野田字元袋18-1
           グラン・ヴェルディ1階
English School イマジン JAPAN 仙台長町児童園
           園長 横田 智史 宛


[お問合せ]
�鷙:090-5188-1969
✉:king.of.yokochin@docomo.ne.jp

~世の中が感動と笑顔で溢れますように~

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
(引用ここまで)





………………………
yuko takahashiのmixi転載です




原発を拒否する10の理由(前半) 2011年04月27日01:35
1)科学技術の進歩とは、いくたびもの失敗を乗り越えて歩んできた歴史の集積である。ところが、原子力技術には「失敗」が許されず、従って「失敗」から学ぶことも許されない。「失敗」を措定できない科学技術の進歩などというものは、そもそも文明論的な「進歩」の概念からの逸脱である。

2)失敗が許されないにもかかわらず、原発はすでに多くの失敗を繰り返している。だが、受益者(加害者)と負担者(被害者)が構造的に分離しているために、前者は後者の痛みも自らの責任も感じずにやりすごすことができてしまう。基本構造におけるこのズレは、空間的にも時間的にも看取しうる。
空間的なズレとは、たとえば東電の原発が東電管区内に一基も建設されていない事実からも明らかだろう。
時間的なズレとは、目処の立たない廃棄物処理・管理を、後の世代に押しつけている、という一点を考えるだけでも充分だろう。
百年後、千年後、…人類なるものがまだ存続しているなら、賢明な彼らは、危険かつ非効率的な原子力技術への依存をとっくにやめているに違いない。なぜなら、その賢明さこそが、彼らの存続を可能にしたのであろうから。だがそれでも、先祖が彼らに押し付けた、万年単位の管理を要する核のゴミは、彼らを解放してはくれない。空、大地、地下水、川、海は、すっかり汚染されているだろう。彼らに何ら利益をもたらさない、危険すぎる過去の残滓に囲まれて、彼らは生き続けるほかない。怒りの矛先を向けるべき先行世代は、利益だけを享受し尽くして、とうにこの世から消えている。

3)おそらく上記のような歪んだ構造に、程度の差はあれ誰もが気づいている。しかし、気づかないふり、感じないふりをして生きることで、現在の生活を成り立たせている。現在と未来に対するこの不実は、人間の想像力、他者への共感能力、倫理観を圧殺する。

4)失敗が許されないとされているために、失敗は常に闇に葬られてきた。そこには、多くの嘘、多くの秘密、多くの誤摩化しがある。それらを隠すために、新たな嘘、新たな秘密、新たな誤摩化しが必要とされる。
秘密を共有する者たちの共同体は、人脈・金脈・知と情報の独占により内部の結束を固め、批判者・監視者を閉め出す。彼らはプレイヤー・マネージャー・レフェリー・チアグループの立場を独り占めし、しばしばルールブックすら都合良く書きかえてプレーを続けている。
チェルノブイリ原発事故当時、IAEAの事故調査委員長(日本人研究者)が出した「安全宣言」の嘘(*註参照)は、25年後の今日、TVに居並ぶ「専門家」らによってリフレインされている。その結果、日本の子どもの年間被曝線量は突然国際基準の20倍に引き上げられ、「計画的避難区域」とほぼ同線量の福島市の子供たちは「屋外活動自粛」措置にとどめおかれている。
結果は「ただちに」は出ない。だが、いずれ出るだろう。そして、隠蔽されるだろう。たとえ真実の一部が明るみに出ても、彼らはこう答えるだろう。「因果関係は立証できない」。
嘘、秘密、誤摩化しは、原子力共同体の住人たちの結束をいっそう固めると同時に、彼ら自身を身動きできないように拘束し続けている。このような場で、良心は沈黙を強いられ、窒息する。

5)原子力共同体の内部には、「対話=dialogue」がない。
対話とは、意見を異にする複数間のコミュニケーションをいう。他者を閉め出した空間で交わされるのは、たとえ大勢の人間が集まっていても「独語=monologue」でしかない。そのような場では、自分の責任や信条、あるいは全存在をかけて、他者に向き合い、言葉を発するという契機は生まれない。
たとえば、非専門家との間の橋渡しをすることは、専門家の重要な仕事のひとつであるはずだ。しかし原子力共同体の内部を支配しているのは徹底した衆愚観であり、大衆は適切にコントロールされるべき対象としか位置づけられていない。
今回の事故に際して、彼らが最も熱心に行ったのは、「安全である」という壮大な独り言の大合唱であった。彼らは、非専門家が「パニック」を起こさないように誘導することが、専門家たる自分たちの仕事と信じて疑わない。

6)以下、次回に続く。

*註:チェルノブイリの「嘘」と子供たちの実情については、下記動画をご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=tWWICnIQE9k


………………

yuko takahashiのmixi転載です