ど こ で も ド ア で
扉 は 潜 れ な い 。.。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
紆 余 曲 折 を 経 て
伝 え 合 う
い く つ も の 段 階 。
分 か り や す け れ ば
問 題 は な い 。
見 え な い と こ ろ に
生 じ て い る
問 題 。
ど こ ま で が
想 定 の 範 囲 か ?
分 か ろ う と し な い で 、
想 像 し て み た い 。
掛 け 替 え の な い 開 幕
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕の生徒の日のノートの上に
僕の学校机と 樹々の上に
砂の上に 雪の上に
僕は書く おまえの名を
読まれた全ての 頁の上に
石 血 紙 あるいは 灰に
僕は書く おまえの名を
金色に塗られた 絵本の上に
騎士たちの 甲冑の上に
王たちの 冠の上に
僕は書く おまえの名を
密林の 砂漠の上に
巣の上に えにしだの上に
僕の幼年の日の こだまの上に
僕は書く おまえの名を
夜々の 奇跡の上に
日々の 白いパンの上に
婚約の 季節の上に
僕は書く おまえの名を
青空のような 僕の襤褸の上に
くすんだ日の映る 地の上に
月の輝く 湖の上に
僕は書く おまえの名を
野の上に 地平線に
小鳥たちの 翼の上に
影たちの 粉挽き場の上に
僕は書く おまえの名を
夜明けの一息ごとの 息吹の上に
海の上に そこに浮かぶ船の上に
そびえる 山の上に
僕は書く おまえの名を
雲たちの 泡立てクリームの上に
嵐の 汗たちの上に
垂れこめる 気抜け雨の上に
僕は書く おまえの名を
きらめく 形象の上に
色彩の クロージュの上に
物理の 真理の上に
僕は書く おまえの名を
めざめた 森の小径の上に
展開する 道路の上に
あふれる 広場の上に
僕は書く おまえの名を
点くともし灯の上に
消えるともし灯の上に
集められた 僕の家たちの上に
僕は書く おまえの名を
二つに切られた果物のような
僕の部屋の ひらき鏡の上に
虚ろな貝殻である 僕のベットの上に
僕は書く おまえの名を
大食いでやさしい 僕の犬の上に
その ぴんと立てた耳の上に
ぶきっちょな 脚の上に
僕は書く おまえの名を
扉の トランプランの上に
家具たちの上に
祝福された 焔の上に
僕は書く おまえの名を
とけあった 肉体の上に
友だちの 額の上に
差し伸べられる 手のそれぞれに
僕は書く おまえの名を
驚いた女たちの顔が映る 窓硝子の上に
沈黙の向こうに
待ち受ける 彼女たちの唇の上に
僕は書く おまえの名を
破壊された 僕の隠れ家たちの上に
崩れ落ちた 僕の燈台たちの上に
僕の無聊の 壁たちの上に
僕は書く おまえの名を
欲望もない 不在の上に
裸の 孤独の上に
死の 足どりの上に
僕は書く おまえの名を
戻ってきた 健康の上に
消え去った 危険の上に
記憶のない 希望の上に
僕は書く おまえの名を
そして ただ一つの語の ちからをかりて
僕は もう一度 人生を始める
僕は 生まれた おまえを知るために
おまえに 名づけるために・・・
自由 と。
By ポール エリュアール