そう思わせる街の愛

東京都中野区の沼袋界隈はまことにのどかである。
10年前まで住んでた頃もそこがお気に入りだったが、あらためて訪れてみても、やはりそれは変わらなかった。
ここから５駅乗ると新宿だとはとても思えないユルさ。


春のうららかな陽気が街にとけこみ、眠気誘われあくびがとまらない。


街はそこに住む人がつくる。
建物は勿論の事、その空気も人々の息遣いによって育まれると思う。
散歩という名のフィールドワークを重ねれば、自ずとそれは感じとれるものだ。


かつて住んでいた場所から隣駅の野方まで歩く。
こちらも一見沼袋と似たような体裁ながら、どこか一歩垢抜けた空気を感じる。
もしくはのんびりの中に少しだけ緊張感が混じっている、といった様な 。
すぐ横を環七が走っているのは大きい。


そこからバスで練馬までゆく。
こちらはこちらで街の規模は大きいのだけど、なんというか、まとまりがない。
ここにはもっと昔に住んでいたが、あの頃抱いた印象はやはり同じだ。


そんな街の片隅にある美容室で、髪を切る。
ここの年上の美容師さんとの付き合いも17年目。座れば一切の注文もしないまま、馬鹿話や時に原発話などにも興じつつ、さりげなく見事にまとめてくれる。


街にそんな人が今日も居る。
そんな人に逢いたくて今日も通う。


そう思わせる街こそ、僕の理想。



#沼袋
#街の愛