パチっといきなり明るくなった。
「サトシ?何してんの?」
「あ、おかえり」
ショウが仕事から帰ってきた。
「んーちょっと勢いよく転んじゃって。
痛みが落ち着くまで寝っ転がってようと思って」
「え?そんな?怪我は?」
「それは今から確かめようと思ってる」
「動ける?」
うーん?腕は・・・痛みなく動く。首も大丈夫そう。
頭も怪我はしてないだろう。
もう痛みがないから。
少しずつ体を動かしていく。
ショウが僕の横に跪いて僕の顔を心配そうに覗きこんだ。
天井に向かって突き上げた腕をショウの首に回した。
ショウが僕の背中に腕を差し込んで起こしてくれる。
立ち上がろうと膝を立てて足を床に付けた時、痛みが走った。
あーやっぱり足首がやられてた。
「左の足首、ひねったみたい」
「他は大丈夫そう?」
「うん、他は痛いところないから」
「とりあえず、ソファーに移すよ」
ショウが抱き上げてくれようとすると痛みが強くなる。
顔をしかめたことに気がついたのか?
「治せる?」
首を振った。
治そうとしてみたけど・・・治せない。
ショウの怪我ならいくらでも、すぐにでも治せるのに。
ショウが困った顔をして僕の足首に口唇を寄せる。
優しく触れるだけのキスをしてくれると。
途端に痛みが引いた。
いつの頃からか、僕は自分の怪我を治せなくなった。
ショウが治すように願ってくれないと治せない。
「ごめん」
ショウは自分のせいだと思ってるけど。
それは違う。
僕が弱いせい。