声 24 | 嵐の勿忘草

嵐の勿忘草

忘れたくないけど忘れてしまうこと
忘れたいけど忘れられないことでも

二人で絶頂を迎えた。
ソウルが溶け合えるなら・・
このタイミングでサトシのソウルが俺に入ってくる。
でも・・サトシはやってこなかった。

もしかして・・やっぱり・・・サトシは・・拒否してる?
躰では、受け入れてくれても・・・
心は、受け入れてくれないのか?

もう、サトシとのこの関係はここで断ち切られてしまうのか?
ひんやりとした想いがまた胸に広がった。

でも、そんなことないはず。
躰は心を欺けない。
少なくともサトシは、快楽のためだけに躰をつなごうとするなんて・・
そんなことはしない。

気持ちあっての・・・ことだから。
なにかがあって・・・来られないのかもしれない。

俺はサトシの中へ入った。

“サトシ!どこにいる?”

サトシのソウルがどこにも見当たらない。
隅のどこかに隠れてるのか?
ソウルを広げて・・・
隅々まで行き渡らせると・・サトシがいない代わりに・・
不思議なものがあった。

黒い丸い何か。
試しにコンコンと突いてみた。

“サトシ?この中にいる?”

“ショウ・・・助けて!”

悲鳴にも似た、恐怖さえ感じているサトシの声。
早く・・ここから出さないと!
サトシが壊れてしまう!
焦る気持ちを落ち着かせて、サトシをそこから出すための穴を探した。

探している間も、サトシは悲鳴を上げる。
俺まで焦ったら、サトシはもっと怖がる。
自分だけはなんとか落ち着いていようと・・
かなりの努力を要した。