still... 27 | 嵐の勿忘草

嵐の勿忘草

忘れたくないけど忘れてしまうこと
忘れたいけど忘れられないことでも

もっと、大勢の人がいると思っていた。
でも・・いたのは、二人だけ。

年配の男性と女性。


ショウのご両親?
僕を睨めつけた。
そして、すぐに視線を外す。
そこに僕はいないかのように。

僕は頭を下げた。


「オオノ サトシです。
ショウくんとエターナルツインの誓いを交わしたいと思ってます。
そのご挨拶に来ました」

僕の存在を無視してるから。
そのことばも聞かないつもりらしい。
なんの反応もない。
僕の後にショウがことばをつないだ。


「この人が・・俺の選んだ人です。
生涯を共にしようと思ってます。
あなたが俺に押し付けようとしていた人とは違いますが。

これから、俺は・・自分で選んだ道を歩いて行こうと思います。

それだけを・・言いに来ました」

ショウは僕の手を引いて、部屋を出ようとする。


「何が気に食わない?
家柄も容姿も学歴も・・・おまえと釣り合う娘を選んでやった。
社会的地位も人々の尊敬も得られる職も与えてやった」

その人はショウの顔を見た。
何の表情も見せない。

怒っていたり、悲しんでいたり。
そんな顔を見せてくれていたら・・
まだ、ましだったのに。