「行ってくるね」
椅子にうなだれたままのショウの頭のてっぺんに口唇を落とした。
フワッと、コロンの香りと、ショウ・・の匂いがした。
ショウの頭をしばらく抱えるようにして。
闘いに行くのに、必要な力をもらった。
最後にもう一回。
てっぺんにキスをして。
ショウの匂いを大きく吸い込んだ。
「行ってくる」
ショウから離れてドアに向かった僕を。
ショウの声が追ってきた。
「俺も・・俺も行く」
僕のことを腕に入れた。
ショウは・・・ちょっとだけ震えていた。
武者震い・・みたいなもの?
それとも・・・
ショウは・・恐いのかな?
自分の親のことを恐いって思う。
それが僕には分からないけど・・・
僕の知らない社会ならではの・・親子関係があるのかも・・
お互いを励ますようにして。
僕らは手をつないだまま、部屋を出た。
思った通り。
警備が厳重にされている部屋。
ショウがいるから、フリーパスで通れる。
僕に対して怪訝な顔をしていたけれど・・
制止はされなかった。
ノックして、ショウが中に声をかけた。
「ショウです。入ります」