together,forever 245 | 嵐の勿忘草

嵐の勿忘草

忘れたくないけど忘れてしまうこと
忘れたいけど忘れられないことでも

慌てて、支えた。

「ん、もう〜ショウが引っ張るからだよ!」

サトシは言ったけど・・
そんな感じじゃなかった。


両腕を掴んで、自分の方を向かせる。

「サトシ!ホントは・・・しんどいんでしょ?」
「平気・・・何も・・ないって」

昨日、医療棟から帰ってくる時も、かなりしんどそうだった。
俺の腕に縋って、なんとか歩いてる、って感じで。
じっと目を見ると、視線を外す。

「サトシ?」
「大丈夫だから。ちょっとふらついただけ。手・・離して」
「じゃ・・ちゃんと食事するって・・約束して?」
「約束?いつも、僕、ちゃんと食べてるよ」
「じゃ、もっと食べるって・・約束して」
「頑張るけど・・・ホントに・・食べられないんだよ」


困った顔して微笑んだ。
その顔が・・すごい儚く見えて。
サトシの両腕から、手を離して・・抱き寄せた。
すっかり細くなってしまった肩と腰。
俺が回した腕にすっぽりとおさまってしまう。
肩なんて・・骨が手に当たるくらい。
痛々しく感じるほどの・・躰。
哀しく感じて・・・それを誤魔化そうと冗談めかした。


「このままじゃ・・抱き心地悪いんだけど?」
「・・・・・いや?」

ちょっと心細そうな声。


「ん〜いや・・ってことじゃなくて・・・
骨ばってるのが、あんまり好きじゃないだけ」

「じゃあ・・今の僕の躰・・あんまり好きじゃないよね?」

「そうだね・・前の方が好きだね」


そうは言ったけど。
サトシなら、どんなでも、好きだよ。
細くても。太ってても。

サトシだから。