Tell me why 1 | 嵐の勿忘草

嵐の勿忘草

忘れたくないけど忘れてしまうこと
忘れたいけど忘れられないことでも

明日はカズも仕事が午後からのはず。
そんな日には、お約束のように、どちらかの家で一緒に過ごす。
今夜はオレがカズの家に行く。

ちょっと遅くなったから、もう、カズは帰ってるかも。

オートロックを暗証番号で解除して。
部屋の前まで来た。
鍵を開けようとして、キーホルダーを取り出す。

気づかなかったけど・・カズの家の鍵がない!?

なんで?どっかで落とした?
・・ヤバい!


インターホンを慌てて鳴らした。

「はい?」
「オレ!開けて!」

ドアが開けられるまでが、すごく長く感じて。
ドアノブを握って、ガチャガチャ回す。

ようやく鍵が開けられて。
カズがドアを開けたまま、そこにいるから、中に入れない。



「ごめん!カズの家の鍵、失くした!」

「あ・・それ、ワタシが取りました」

「あ・・カズが持ってるのか。
で?なんで?ドアの鍵、変えたの?」

「大野さん。もう、鍵返してもらいますね」

「え?なんで?」

「ファンを大切にしてください」


は?何?
カズの顔、見てたら・・目を逸らした。


「それが、鍵を返さなきゃいけないのと、何の関係がある?」

「ファンを大切にしてくださいね~!」


目を逸らしたまま、茶化したように。
無理に明るい声作って。




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前に他で出した話です。
ほとんどのアメンバーさんが読んだことあるかも?(笑)