帰宅して、パソコンでネット上を探した。
オレの知ってる大野さんの情報。
だけど、何時間かけても、ほんの一欠片もつかむことはできなかった。
もしかして・・・
大野智は・・オレの記憶の中だけにいる・・・
幻・・なのか?
ふと、浮かんでしまった、そんな疑問を振り切るようにして。
思いっきり、首を振った。
気分転換にシャワーでも浴びよう。
服を脱いで、洗面台に映った自分の顔を見る。
心細い。
迷子のような顔をしている。
そんな顔を見たくなくって。
バスルームへと体を返した。
視界のはしに映った それ。
脇腹に残った、朱い花びらのような痕。
やっぱり・・大野さんはいた。
その痕は・・昨夜、大野さんが・・付けた・・痕。
「死んでくれるか?」
そんな言葉を曖昧に笑い飛ばした後。
いつもよりも激しく愛されて。
「俺のこと・・・忘れんなよ」
そんな言葉とともに、付けられた痕だった。