トビラ 5 | 嵐の勿忘草

嵐の勿忘草

忘れたくないけど忘れてしまうこと
忘れたいけど忘れられないことでも

何日かあけては、サトシはうちに来るようになった。
ただ、酒を飲んで帰るだけ。
俺の顔だけを眺めて・・なにが面白いんだか?


「ショウさんの店は・・何を売る店なの?
一回も、開いてるの見たことないんだけど?」

「俺のところは、開くのが遅いんだよ」

「今度、商売してるとこ、見てもいい?」

「いいけど・・遅くなると、外にでるのは危険だから、帰れなくなるぞ」

「泊まらせてくれる?」

「いいけど・・いいのか?」



次に来た日。
泊まって行くから、と、告げられた。



サトシを帰らせる誰そ彼時を過ぎ。
月が砂漠を照らす時間。

俺の店を開ける。

サトシは店の一番奥。
俺のいるすぐ隣に座らせておいた。


俺の店の商品たちが、あいさつしながら、次々に入ってくる。


思い思いのテーブルに付き。
酒を舐めながら、客が来るのを待つ。


「まさか・・・・」

隣でサトシがつぶやく。


隊商のヤツラが、店に入ってきて。
一人、また一人。
商品を連れて、二階へと消えていく。