いつものように砂っぽくて乾いた風が吹き抜けた。
「うわっ!」
俺のすぐ横で声がした。
ここらへんでは聞いたことのない声。
砂よけのベールを風に持って行かれて。
叩きつけるような砂の前に無防備になった一人の・・・・・
男?女?
一見、どちらか判別がつかない。
中性的な美しさを持つ存在。
着ているものを見ると・・・
男・・・だ。
そういえば、さきほどの声は男にしてはやや高めだったが・・
芯の通った強さがあった。
砂の前で無防備に立ち向かうと、目や肺に砂が入り。
砂で洗われた肌は、その乾燥した熱さにやられる。
「おまえ、こっち来い!」
俺はそいつの手首を掴んで、強引に引っ張った。
今日の風の方向だと、まともに砂が飛んでくる。
男は抵抗することなく。
手を引かれるままに、俺について走り。
何も、問いかけることもなかった。
さすがにこの国の人間なら・・・
砂の恐ろしさは知っているらしい。
自分の店へと、連れて入った。