支払督促とは、「貸したお金を返してくれない」「売掛金を払ってくれない」「給料を払ってくれない」「請負代金や修理代金を払ってくれない」「家賃を払ってくれない」など場合に、そのような債権回収を簡易裁判所を介して行う方法です。

 債権の内容を記載した支払督促申立書を提出して行うのですが、その際、債権の存在を立証する必要はなく、書類審査のみで裁判所に行かなくて済み、債権回収までの期間も2か月程度(通常の訴訟は1~2年)と短いので、非常に利用し易い制度です。実際に、簡易裁判所が受理する新事件数のおよそ3割をこの支払督促が占めています。

 ※この証拠が不要という点を悪用して、悪質な高額請求がされるケースもあり

  ますので、万一、身に覚えのない支払督促が届いた場合には直ちに、裁判所

  に異議申立てを行う必要があります。

 

 支払督促の手続きを簡単に説明すると、債権者が支払督促申立書を提出すると、簡易裁判所は両当事者に支払督促を発付します。これを受領した債務者は、2週間以内に裁判所に対して異議申立をすれば民事訴訟へ移行し争うことができますが、異議申立しないと債務を認めたことになり、債権者は勝訴(債務者は敗訴)したのと同等の効果を得ることになります。異議申立をしないと、裁判所から仮執行宣言付支払督促が送られてきます。この仮執行宣言付支払督促は確定判決と同じ効果を持っていますので、これを基に、債権者は強制執行を申し立てることが可能になります。この仮執行宣言付支払督促を受領した後2週間以内に異議申立てをすることができます。この段階での異議申立てとして多いのは、支払期日の延期や分割払いでの返済に関するものが多いようです。

 

【まとめ】

 簡易裁判所に対する支払督促の申立ては、訴えの提起に擬制され、時効の完成猶予の効果を生じさせます。その後に、仮執行宣言付支払督促が発付されますと、確定判決と同じ効果を持ちますので、時効は更新されます。

 

以上