制限行為能力者が自身を行為能力者だと相手側を騙して行為、意思表示をした場合のルールです。

考えられるケースとしては、

1.制限行為能力者が「きっと保護者は反対するだろうな」と分かっていて行為や意思

 表示をする場合や、

2.補助人などが「自分が行った行為を取消しても、全部を返す必要がない。無駄遣い

 した分は返さなくていいらしい」と入知恵をされ、行為能力者の振りをして行為を

 した場合

などが考えられます。(2のケースは稀ですが)

 

その行為に関しては、なんとか人を騙せないか?と考える位の能力のある人だから、

あくまでもその行為に関しては、保護する必要はありませんね。

なので、詐術を用いてした法律行為は取消すことはできません。

 

この論点で試験に出易い点は、どういったことが詐術に当たるのか?というところです。まずは次の要件を満たした場合です。

 

①制限行為能力者が自己を行為能力者である、もしくは、同意権者の同意や家庭

 裁判所の許可をもらったと、と信じさせるため詐術を用いたこと

②相手方が制限行為能力者を行為能力者だと、又は同意や許可を得ていると信じ

 たこと。

③①と②の間に因果関係があること

 

または、はっきりと詐術を用いるのではなく、微妙に上手に欺くという場合もあります。聞かれたことに頷くだけで、その他の立ち振る舞いで、相手を騙した場合などです。その場合に、裁判所の見解(判例)として、通常の詐術にはあたらなくても、制限行為能力者の他の言動と相まって相手方を誤信させ、または、誤信を強めたと認められた場合には詐術にあたるとして、その場合には取消不可としています。