制限行為能力者の行う行為、表示した意思表示は、原則として取消すことができます。これを相手側から見ると、その行為や意思表示がいつ無効になるのか分からない状態が続くことになります。地に足のつかない不安定な状態が続くわけです。

これでは不都合が生じるので、有効か無効かを確定させる3つの方法を設けました。

〇制限行為能力者側からのアクション

 取消権の行使 ⇒ 行為や意思表示は無効に確定します。

 追認権の行使 ⇒ 行為や意思表示は有効に確定します。

〇相手側からのアクション

 催告権の行使 ⇒ 「行為や意思表示を有効にするのか、無効にするのか、

           はっきりしてくれ!」と、制限行為能力者側に詰寄る

           ことができます。

 

【催告権のメリット】

法律行為の効果の有無をはっきりさせることは勿論、いち早く、催告をすることで

取消された場合の返還分の減少を防ぐことができます。

 ※通常、法律行為の取消があった場合には、当事者双方が給付された全部を

  返還しなければならないのに対して、制限行為能力者は、現存利益だけを

  返せば良いので、制限行為能力者がした無駄遣い分は返還されません。

 

【催告権者】

制限行為能力者がした法律行為、意思表示の相手方です。

 

【催告の対象者】

催告は追認するのか、取消するのかはっきりさせる行為です。なので、取消も追認もできる人間に催告しないと意味がありません。

制限行為能力者には取消権しかありません。追認権は持っていないので、制限行為能力者本人に催告しても意味がないです。

取消権と追認権を持っているのは、保護者、もしくは、行為能力を回復した後の制限行為能力者(だった者)ですので、この人に催告します。

催告の相手は、保護者もしくは行為能力を回復した制限行為能力者です。

 ※「行為能力を回復した」とは、未成年者が成年者になるか、後見・保佐・補助

  開始の審判が取消された者です。

 ~注意点~

  保佐人と補助人は、判断能力が劣るものの、健常者寄りの人間です。ある程度

  判断能力(事理弁識能力)のある人間です。なので、この2者には、「追認す

  るのか取消するのかを保護者に聞いてきて下さい」という催告をすることがで

  きます。

 

【催告の方法】

返事の期限として、1か月以上の期間を設けた上で催告しなければなりません。

 

【催告権の効果】

追認権者(保護者もしくは行為能力を回復した制限行為能力者)に対して行った場合

において、返事の期間内に返事がなかったら、追認したことになります。

追認できるだけの能力があるのだから、怠けてないで、ちゃんと返事しなさいということです。でないと追認になっちゃうよとプレッシャーを掛けてます。

 ~注意点~

  保佐人や補助人に催告した場合においては、保佐人や補助人が保護者に催告

  があった旨を連絡しないことも考えられます。そういった場合を考えて、

  保佐人や補助人を保護する必要があるので、期間内に返事がなかった場合は

  取消扱いになります。

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