【未成年者制度と成年後見制度の共通点と相違点】

・共通点

 判断能力の不十分な者を保護する制度

・相違点

 未成年者制度…①未成年者は受動的に保護を受けるだけ。

         未成年者は未成年者というだけで全員一律に保護され、誰に、

         どのように保護されるのかは法律で既に決められている。

         未成年者が主体的に関与する余地はない。

        ②未成年者保護を最優先で考える。

 成年後見制度…①本人(保護を受ける者)が、保護者の選任や、保護者の権限の

         決定に関与できる場合がある。保護の在り方に主体的に関与

         できる場合がある。

        ②本人(保護を受ける者)を可能な限り健常者と同様に扱い、

         その意思をできる限り尊重する(自己決定の尊重)。

 

【成年後見制度について】

第一に、保護を受ける本人の自己決定を尊重する。

第二に、本人の自己決定に委ねることが適当でない場合に法が介入する。

 

(第一/任意後見制度)

 本人が、将来、事理弁識能力が不十分になる万一の場合に備えて、あらかじめ

 後見人を指定し、その権限も決めておく制度(後見人に指名した人と委任契約

 を締結する)。

 実際に判断能力が不十分になった場合には、後見人は契約内容に定められた範囲

 内において本人を代理して法律行為を行い、本人をサポートする。

 ただし、その場合でも、本人の行為能力が制限されるわけではなく、本人は、や

 ろうと思えば、有効な行為を単独で行うことができる。

 

(第二/法定後見制度)

 任意後見契約を締結していない場合、または、締結していたとしても、その内容

 が本人を保護するのに十分もしくは適切でない場合がある。その場合のために、

 法定後見制度がある。

 法定後見制度は、本人が必要とする保護の程度に違いがあるため、それに応じて、

 後見、保佐、補助の3種類ある。この3つの大きな違いとして、後見と保佐では、

 保護を受ける者は必ず行為能力を制限されるのに対して、補助では、行為能力が

 制限されるとは限らないということが挙げられる。

 

(任意後見制度と法定後見制度の関係)

 任意後見制度がうまく機能している間は、法定後見制度が利用されることはない。

 成年後見制度は、第一に本人の意思を尊重する制度だからです。

 逆に、法定後見制度が利用されるということは、任意後見制度における委任契約

 が締結されてないか、当該契約が適切でない状況にあるわけだから、任意後見

 制度の登場の余地はありません。

 このように、任意後見制度と法定後見制度のどちらか一つを利用することになり

 ます。

 

(成年後見登記制度)

 任意後見制度または法定後見制度を利用している者を公示する制度です。

 任意後見または法定後見が開始すると、その事実が法務局に伝わり、法務局に保管

 されている成年後見登記ファイルに記録されます。

 本人や保護者の請求により、当該登記情報は開示されるので、保護が必要な者と

 取引をする相手方は、本人または保護者に当該登記情報(後見制度を利用していな

 い旨の証明書)を提示させることで、安心して取引をすることができます。