私は、カメレオン。

いつでも自分を表面的に、思想的に、変化させることができる。

人は、私を羨ましく思っているようだ。

私は、蜻蛉を尊敬する。

彼は、自分の姿を千変万化させることとは無縁だ。

いつも、でかいか小さいか、素早いかのろまか、赤いか赤くないか、でその個性を判断される。

だが、彼は世界をゆっくりと見ることができる。

まだ世界の破片一つ手にしていない人間の子供に狙われることがしばしばだが、

抜群のスローモーションアイでやつらをかわしていく。

そして、彼は確固たる信念を持っているのかないのか、わからないが、孤立を恐れない。

私は、自分が常に流動的である性質を利用して、確固たる彼に牙をむく。

一瞬で彼を捕らえる。

スローモーションアイの限界を超える私の動きに、いったいどれだけ彼と彼の家族は苦しんだだろう。

私は、しかし彼を食わねば生きていけない。

変化せず動いている者は、変化しながら動かない私の敵だと思うようにしている。

でも私は最近、状況に適応する力を疑い始めた。

状況に適応することは、お決まりの世界を肯定することに寄与するが、

同時に世界を退廃させるのではないかと。