俺は、今まで感じたことのない動機から、『佐賀のがばいばあちゃん』を観ることになった。
単純な動機は会社を受ける上で映画を観ていないのではまずい、ということだが、やはり、映画を観て、監督をした社長に最終面接で想ったことを伝えたいという願望が強かった。

観始めて数シーンで、俺の頭の中で製作会社や監督への固執感は薄れていくのを感じた。

昔、主人公と同じ年頃、田舎の祖父母の家に行くのが楽しみでならなかったことを思い出した。

じいちゃんはトマトや米を作っていて、一時期森を所有して杉の木を育てたりしていた。

ばあちゃんは基本的にじいちゃんと同じことをしていたが、いろんな田舎料理を作って食べさせてくれる。

孫が来る度にカレー卵焼き、ハンバーグといった現代的な料理を作るのだが、そんなばあちゃんの優しさより、

具だくさんの味噌汁や味も見た目も素朴なふきのとうを茹でたものとか、菜の花の玉子綴じ、馬鈴薯を甘辛く煮たやつ、佃煮、土筆(つくし)、雉(きじ)汁に猪汁といった料理からにじみ出る愛情がたまらなく好きだった。

もちろん、その味は一級であり、またお袋の味に匹敵する温かいノスタルジー性が強く一生忘れないものだと思う。